【お勧め書籍】苦しかったときの話をしようか
公開日 2021年9月30日 更新日 2022年3月13日
「自分がこれから何をしたらいいかわからない、すべての人に」
自分が何者で、これからどんな仕事がしたいのか。それが分からなくて悩む人は多いと思います。
社会に出る前の若者だけでなく、社会人になってからも、いい大人になっても、一生悩み続ける人も多いのではないでしょうか。
そんなキャリア形成に悩む方向けに書かれた本が、大赤字だったUSJを日本屈指のテーマパークに再建した辣腕マーケターとして有名な、森岡毅氏による著書「苦しかったときの話をしようか」です。
本書はもともと、社会に出る前の自分の娘に向けて書いた、きわめてプライベートな書き物だったそうです。それをたまたま出版社の編集者が目にしたところ、あまりの出来栄えに感動され、世に出すことを強く勧められて出版に至ったとか。
そんなエピソードがある本書を紐解いてみると、森岡毅氏がいかにもがき苦しみながら、仕事への確固たるスタンスを構築していったのかという物語性、ビジネスへの真摯な姿勢とものすごい情熱・傑出した問題解決力の高さに圧倒され、またそれらを包み隠さず娘さんに、読者に伝えようとされる姿勢に心打たれます。
これからのキャリア形成に悩む、すべての人に役立つ「働くことの本質」を突いた情報が満載です。書籍の内容を一部ご紹介します。
・「自分が何をしたいか分からない」という問題の本質は、あなたが世界のことをよく知らないことではなく、「あなたが自分自身をよく知らないこと」に起因している
→問題の本質は外ではなく、あなたの内面にある
→自分の中に軸がないから、やりたいことが生まれるはずも選べるはずもない「無理ゲー」である
・本質的にあなたが悩むべきなのは、自分のキャリアの中で最も重視すべき「軸」である
→自分の持っている特徴・大事にしたい軸を認識して、それが強みになるようなキャリア、生き方を考えること。人生における時間の使い方として、自分の特徴=強みになるよう必死に磨くことより大切なことは無い。
→これを正しく磨けば大きな武器になる。しかし実際には、自分の宝物が何なのか無自覚な人が大半である。
→自己認識できないものは、どんなに潜在的に優れていても磨けない。自覚しているかしていないか。この差は、時間がたつにつれて決定的な差になっていく。
・自分の中の特徴探しは他人との比較ではない。しかし、社会的な評価は必ず自分以外の誰かが行なう。最終的には、同じような強みがある集団の中で相対的に秀でていかねば評価されない。
・人間は、みんな違ってきわめて不平等。当人の責任とは全く関係なく、人は生まれつき違っている。生い立ち、見た目、身体能力、知力すべてにおいて、残酷なまでの格差がある。
→つまり生まれつき人間はみな不平等だが、逆にいえば自分のユニークな特徴を認識さえできれば、ひとりひとりが特別な価値を生む可能性がある。
→最も大切なのは、自分の特徴を客観的に認識すること。
・現代社会において資産を作るには、資本家になるしかない。資本主義の社会構造が、資本家にとって都合よいように作られているから。
→それは、労働者への課税(給与所得に対する課税)が最大50%近くなのに対して、資本家への課税(株式等の利益に対する課税)が分離課税で20%であることからも明らかである。
・何も持たざる者が資産を増やす方法:成功報酬として企業の株を獲得することである。これよりも可能性がある勝ち筋は存在しない。
→そのためには労働市場における自分の市場価値、評価を上げていくしかない。
→自分が世間に出たときに、いくらの値段が付くかを常に意識するべき。
・あなたというブランドを、他人からどのように評価してもらうかが大切である。
1)Who「誰に」買ってもらうか?(自己資源を集中的に投入する標的)
2)What「何を」買ってもらうのか?
ブランドの価値、そのブランドを買う本質的な理由を定義する
3)How「どうやって」買ってもらうのか
Whatを具現化する具体的なやり方、仕組み。
・上記で定義したブランドの設計図を基に、以下の4点で客観的な強みとなっているか、評価する。
①Valuable :価値は十分強いか?
②Believable :信憑性はあるか?
③Distinctive:際立っているか?
④Congruent :自分の本質と一致しているか?
・自分の築きたいブランドと出来る限り一貫性がある言動、行動をとるよう意識する
→ブランドエクイティを壊すと、ブランドは一気に弱くなる
・最重要なのは”問答無用の実績”である
→ブランドの設計図に沿って、本質的な実力を蓄える
・普通の人と同じような働き方をしていたら、普通にしかなれない
→人と違う結果を出したければ、①根本的に人と違うことをやるか、②人と同じことを全く違うやり方でやるか、のどちらかである。
・これからの時代、多職能だと・・・、①先行き不透明な世界では複数の収入があればつぶしが効く②自分の市場価値を高められる
・人はどういうときに最も苦しいのか?
→自分自身で自分の存在価値を疑う状況に追い込まれたとき
→しかし、「きっと何とかなる」ことを忘れてはならない
・新しい環境、取り組みにチャレンジするとき、誰もが相対的に「その世界で一番できない人間」になることは避けられない
→貪欲に学ぶ姿勢と数年の努力で、その状況から必ず脱することができる。
まとめ
父親として、子どもが社会に出るときにこんな話をしてあげたら最高だと思える金言の宝庫のような本でした。
特に思春期~社会人なりたてぐらいのお子さんをお持ちの方にお勧めです。
ご参考になれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。
【経歴】
1979年生まれ 京都市出身。
同志社大学経済学部卒業後、日本ユニシス株式会社(現BIPROGY 株式会社)入社。一貫して金融機関向けITシステム開発業務に携わる。
金融システム開発の現場で、2007年~2009年頃のリーマンショックによる経済の大混乱、強烈な景気後退、資産の激減などを目の当たりにする。
その経験から、「これからの日本人の合理的な資産形成・防衛に、正しい金融リテラシーが絶対に必要」という強い思いを持ち、2011年4月 株式会社トータス・ウィンズに入社。
中小企業に特化したリスクマネジメント対策のコンサルタントとして、500社以上の中小企業、1,000人以上の保険相談業務に携わる。2015年、代表取締役就任。
法人保険活用WEBサイト『点滴石を穿つ』を運営する一方で、法人向け保険代理店として、東京都中央区を中心にコンサルティング活動を行なう。
【趣味】
美術館巡り、千葉ロッテマリーンズの応援
【自己紹介】
中小企業向けの金融商品が数多ある中で、わたしは一貫して『100%顧客優位な商品選び』をポリシーに中小企業経営者向けの保険活用プランニングを行なってきました。
これまでのキャリアでの最大の学びは、『お金やお金の流れに関する知識や判断力=「金融リテラシー」は、私たちが社会の中で経済的に自立し、生き抜くために必要不可欠』ということです。
そして金融・保険に携わるプロとして、何よりお客様に対する誠実さ・真心・信頼関係より大切なものはないと考えています。
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