・日本人は温室効果ガスの削減を世界的な合意事項と勘違いしがちだが、全くそうではない。

・開発途上国の多くは「途上国には経済開発の権利があり、先進国こそ過去のCO2排出の責任を負って率先してCO2を減らすべき」というポジションを取っており、中国はそのリーダー格。多額の経済支援を受けている途上国の多くが中国を支持している。

・現行の中国の計画では、今後5年間で中国内のCO2排出量は1割増える。この増分だけで日本のCO2年間排出量（12億トン）に匹敵する。さらに中国は毎年、日本の総火力発電容量に匹敵する火力発電設備を新たに建設している。
→その一方で、中国は世界最大のグリーンエネルギー関連設備のサプライヤーであり、気候環境対策をすればするほど中国への世界的依存度が高まる。現状、おおざっぱに言えば世界のエネルギー産業のうち半分は中国がシェアを持っている。
→欧州では、すでに中国企業が手掛ける原子力発電所が複数存在する。イギリスは1990年代に電力事業を民営化して、中国企業から電力供給を受け、配電網を完全に掌握されている。
→これから先、日本でも中国産の太陽光・風力発電設備が配電網に多数接続されると、同じようなリスクが高まる危険性がある。

・統計上、地球温暖化はCO2排出増により進んでいるとは言い切れない。進んでいたとしても、わずかである。
→CO2排出増による過去30年間の温暖化は、世界平均0.8℃程度。これは太古に自然変動で起こった温暖化と大差がない。
→温暖化は人為的CO2の増加にもよるが、都市化や海流などそれ以外の要因も大きく、よく分かっていない。

・もし2050年のCO2を8割減らそうとすれば、これから毎年43兆円～72兆円掛かると試算されている。

・このような国家予算に匹敵する巨額を温暖化対策のためだけに使うのは不可能。
→家庭の設備は全部電化？ガスは全部廃止？工場は？農業機械は？飛行機は？船は？工場は？現実的に、すべて電力で賄えるわけがない。

・太陽光発電に掛かるコストは安くなり続けているといわれるが、現実はかなり高い。CO2削減1%あたり1兆円かかるといわれている。
→技術進歩で安くなる面はあるが、発電設備にレアメタルなどの鉱物資源が莫大な量必要になることや安全問題の配慮など、新たなコスト増要因がある。全体的には安くなっていない。
→送電にロスが多い、故障が多い、陽が照っていないと発電できないなど問題が多い。

・気候サミットの標準データでは、1850年と現在の比較は0.8℃気温が高くなっているとしている。1850年における地球上のCO2濃度は280PPMで、現在のCO2濃度は420PPMである。
→大昔の地球では、自然の環境変化によりCO2濃度が1000PPM以上の時代もあったことが分かっている。また、植物の殆どは630PPM程度までであれば、CO2濃度が高いほど光合成が活発になり、よく成長することが分かっている。
→人類にとってどちらが住みやすいか？気温が上がったことで植物の育ちが良くなり、農産物の収穫量は上がり、江戸時代のような大飢饉は無くなった。
→今の日本では、夏の暑さで亡くなる人よりも、冬の寒さによって亡くなる人のほうが30倍も多い。

・マスコミではたびたび「温暖化が起因している異常気象」「気候シミュレーション」を報道するが、問題だらけ。

・統計によると、台風は増えてもいないし強くもなっていない。豪雨も同様。
→温暖化予測はひとつひとつの事象に対して信憑性を科学的に検証すべきであり、そのまま信じることは極めて危うい。
→そんな無駄な心配をするよりも、次にくる災害に備えて、全国的に老朽化している公共設備や、防災に必要不可欠な治水工事を地道に続けるべきである。

・「温暖化脅威論」に懐疑的な報道や記事などは、世界的に検疫されたり、削除の対象となっている。
→NHK、英BBC、米CNN、ABCなどの主要メディア、GAFAやツイッター、YouTubeもすべて言論・情報統制されている。
→科学的な検証などを無視した、「不適切」「フェイク」の結論ありきで言論の自由が制限されている。

・これから、国際的な環境規制強化にもはや抗えない中で、2050年に向けてどうしていくべきなのか？

・日本はまっとうに、独自のイノベーション提供の担い手を目指すしかない。
（１）安定、安価なエネルギーは国力維持のために必須。原子力・石炭火力は堅持すべき。
（２）「2050年にCO2実質ゼロ」という国際公約実現のために、整合性のある絵を描くことが必要。
その解は、日本発の技術提供・普及によって、世界全体で日本国内排出量以上のCO2削減を実現し、±0を目指すことである。
（３）再生可能エネルギーや天然ガスに依存した電源構成は、有事に対するエネルギー安全保障の面できわめて脆弱。
エネルギー供給源の多様化がこれまで以上に重要になる。途上国のエネルギーインフラ事業整備に貢献し、戦略的に関係性を深めるべきである。

・日本のCO2排出量は12億トン/年で、これは世界全体のわずか3%でしかない。

・日本国内だけでCO2削減を図るよりも、世界に日本初のCO2削減に寄与する技術提供を広めたほうが、遥かに全体的な削減量は多くなる。

・そのために、世界に普及しうるイノベーションを起こさねばならない。世界のサプライチェーンに食い込むには、安価な技術開発が最も大切だ。

まとめ

ここに書ききれないほど、多くの具体的な事例をもとにたくさんの科学的知見が詰め込まれた一冊でした。

これまで信じられていた環境問題に対する先入観・常識が大きく変わること請け合いです。

『環境問題とは、21世紀の国家覇権争いである』といっていいのかもしれません。

ご参考になれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。