【お勧め書籍】ほったらかし投資術(全面改訂第3版)
公開日 2022年4月12日 更新日 2022年4月12日
ほったらかし投資の「公式本」
「ほったらかし投資術」という言葉、耳にしたことありませんか?
もともとは2010年、2015年と2版に渡ってベストセラーになった、山埼元氏/水瀬ケンイチ氏の共著による書籍名ですが、今や普通名詞のように広く使われていると思います。
この言葉と「インデックス投資」を世の中に広めた水瀬ケンイチ氏は、サラリーマン投資家で、著名な個人投資ブロガーです。
彼はそのインデックス投資についてご自身の投資ブログで長く紹介し続け、ついに2021年末、投資歴20年/平均年率6%で、資産1億円を達成したと公開されています。
私は長らく水瀬さんの著書とブログのファンですが、「それって一体どうやって実現したの?」という多くの個人投資家からの問いに、超シンプルに応えてくれるのが本書「ほったらかし投資術(全面改訂第3版)」です。
本書の結論を言ってしまえば、以下の3点に集約されます。
- 「方法は、長期・分散・低コストの全世界株式型インデックス投信に積み立てるだけ」
- 「商品は、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)1本だけ」
- 「方針は、基本的に売却せず、バイ&ホールドするだけ。淡々と買い続けるべし」
本書では、「たどり着いた方法論は「たった、これだけ」がベスト そのやり方が全世界株式型の投資信託を買い続けることである」とシンプルに力強く主張されています。
書籍の中で、特に印象深かったトピックをいくつかご紹介します。
誰でも同じ方法 これだけでいい「ほったらかし投資術」
・サラリーマンも、若い人も、高齢者でも、投資の初心者も、ベテランも、実はみな同じ1本の投資信託(全世界型インデックス投信)だけでいい。
・資産運用のプロでも上回るのは難しい。実際、プロが運用するアクティブ型の投資信託は、その7~8割は市場の動きに連動するインデックス型に負けている。
・老後資金2000万円問題について。
⇒「2000万円」は人によっては十分な老後資金だが、人によっては全く足りない場合もある。「自分の環境にあわせて老後資金を計算し、計画し、行動する」ことが大切。
・2020年以降のコロナ禍を経て。
⇒マーケットは大きく下落・上昇し続けたが、結果としては「市場から退場せずに「ほったらかし投資」をし続ける」それだけでよかった。
・ほったらかし投資術は、「会社でお金を稼がなくても生きていける」「経済的な独立」が手に入る手段である。
・日本株の個別株投資の難しさについて。
⇒生活に支障をきたすことがある。
⇒どんなに銘柄・投資先を厳選しても、市場全体が下落すると値下がりする。
⇒世界中に分散投資できる低コストのインデックス型ファンドは、20年前には決して手に入らなかった投資法。
・大きなメリットは、その再現性の高さ。ゼロサムゲームにならない。誰がやっても基本的に同じ成果を得られる。
・投資額に対して、年120%程度に増えるときもあれば、最悪70%程度になることもある。年率平均は5%ぐらい。このリスクを許容できるかどうか、が判断ポイントになる。
・投資とは、「買ったり売ったりすること」ではなく「持ち続けること」である。
⇒「やめないこと」が肝心
⇒上昇局面も下落局面も「売らずに持ち続ける」
⇒株の時価に合わせて売ったり買ったりする人のことを、運用の世界では「マーケット・タイマー」と呼ぶが、そのやり方は概ね上手く行かないことが常識的
⇒マーケットタイミングは“探らない”
・長期投資に不向きな商品は、短期投資にも不向
⇒「つみたてNISA」に選ばれている商品は、ほとんどが金融庁のお墨付きで低コスト。
・「ほったらかし投資」をすれば、投資に大した手間を掛けず、仕事や趣味をエンジョイしながら利益を得られる。
⇒お金のストレスから解放された人生を楽しむことが出来る
・数時間かけてインデックス投資づくりの仕組みを作ってしまえば、あとは1年に1度見直すだけ。それ以外の手間は基本的に不要で「ほったらかし」「バイ&ホールド」するだけでOK。
まとめ
これまでに様々なインデックス投資の本を読んできましたが、この本が最もわかりやすく簡潔にまとまっていると思いました。
私がすごいと思ったのが、「その再現性の高さ」です。
この手の投資本は、いろんなことが書いてあったけれども、読了後になにか行動したか?というと、何となく分かった気になっただけで結局何もしなかった・・・となりがちです。
しかし、読者がこの本を読んで起こすべき行動は極めてシンプル。
なんといっても、本書で推奨されている方法はたったひとつ「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を買ってひたすら保有すべし」、それだけ(笑)。
ですから、誰でも簡単にマネできますね。
しかし、言うは易く行うは難し。例えば2020年3月頃のマーケットは、毎日ストップ安を更新し続け、わずか1か月で3割も下落するような大変な相場状況でした。
どこまで下げるかまるで分からない・・・というような市場の中で、果たして冷静にいられるか。買い続ける&持ち続けることがなぜ実際に難しいのか、どうすれば困難を克服できるかというところまで、著者の体験談まじえて記載されているので大いに説得力があります。
なによりサラリーマン投資家の著名ブロガーである水瀬ケンイチ氏が、『1億円という資産を20年で築いた』実際の方法ですから、「絵に描いた餅ではない」ことが証明されていますね。
まさに「理論と実践が組み合わさった、ほったらかし投資術」だと思います。「結局どの投資がお勧めか分からない」という方に、特にお勧めです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
【経歴】
1979年生まれ 京都市出身。
同志社大学経済学部卒業後、日本ユニシス株式会社(現BIPROGY 株式会社)入社。一貫して金融機関向けITシステム開発業務に携わる。
金融システム開発の現場で、2007年~2009年頃のリーマンショックによる経済の大混乱、強烈な景気後退、資産の激減などを目の当たりにする。
その経験から、「これからの日本人の合理的な資産形成・防衛に、正しい金融リテラシーが絶対に必要」という強い思いを持ち、2011年4月 株式会社トータス・ウィンズに入社。
中小企業に特化したリスクマネジメント対策のコンサルタントとして、500社以上の中小企業、1,000人以上の保険相談業務に携わる。2015年、代表取締役就任。
法人保険活用WEBサイト『点滴石を穿つ』を運営する一方で、法人向け保険代理店として、東京都中央区を中心にコンサルティング活動を行なう。
【趣味】
美術館巡り、千葉ロッテマリーンズの応援
【自己紹介】
中小企業向けの金融商品が数多ある中で、わたしは一貫して『100%顧客優位な商品選び』をポリシーに中小企業経営者向けの保険活用プランニングを行なってきました。
これまでのキャリアでの最大の学びは、『お金やお金の流れに関する知識や判断力=「金融リテラシー」は、私たちが社会の中で経済的に自立し、生き抜くために必要不可欠』ということです。
そして金融・保険に携わるプロとして、何よりお客様に対する誠実さ・真心・信頼関係より大切なものはないと考えています。
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