保険の見直し時には、「保険期間」も必須で検討すべき理由
公開日 2021年6月2日 更新日 2021年6月4日
ある日、「生命保険更新のご案内」という資料が保険会社から送られてきて、更新後の保険料の高さ(再来月から2倍!など)にびっくりして生命保険を見直す・・というケースが結構あると思います。実際、わたしもときどきこのようなご相談を受けます。
消費税の増税前にも、家計の固定費を減らすコツのひとつとして、個人保険の見直しを勧める特集をよく見かけました。このように「保険の見直し」というと、いかにムダを省くか?保険料がどれくらい安くなるか?という視点で考えがちです。
確かに固定費が安くなれば家計が助かりますが、保険を見直すときには目先の保険料だけでなく、「トータルでいくら払うことになるのか」という点と、「いつまで・いくらの保障が必要か」という点をぜひセットで考えてみて頂きたいと思います。
例えば某生保の定期保険をネットで見積もってみますと、以下のようになります。
◆商品A
被保険者40歳男性、死亡保険金5,000万円、保険期間65歳まで、月額保険料21,845円
生命保険は一般的に、見積もりだけを見ても高い安いの判断がつきにくいと思います。
そのようなときは、トータルの費用対効果を考えるとよいと思います。
この保険は一言でいえば、「40歳から65歳までの25年間、期間限定で死んだら5,000万円払われる」という保障内容です。月額21,845円ですから、65歳まで健康でいられた場合の総支払額は21,845円/月額×12ヶ月×25年=6,553,500円となります。
65歳までに亡くなれば5,000万円払われますが、66歳以降は一切の保障がなくなります。定期保険だと「更新」ができる場合もありますが、この商品はできません。
良い悪いは別にして、このような保険だということを認識したうえで、加入を検討すべきと言えます。一方、もし「65歳までの期間限定でよい」と割り切るのであれば、以下のような保険もあります。
◆商品B
被保険者40歳男性、死亡保険金1億5千万円~毎年600万円ずつ減少、最低保証額 6,000万円
保険期間65歳まで、月額保険料19,600円
月額19,600円ですから、65歳まで健康でいられた場合の総支払額は19,600円/月額×12ヶ月×25年=5,880,000円となります。トータルの保険料は1割ほど安くなり、保障は5,000万円よりずっと大きくなります。ここだけ見れば、商品Bは商品Aより良いことずくめのように見えますが、この商品も保険期間は65歳で終了です。
今の日本人は平均で80歳近くまで生きますが、この保険のみの加入だと66歳以降は保障がなくなります。66歳以降も一定額の死亡保障が欲しいなら、契約の「更新」ができるタイプの商品を選ばねばなりません。
「更新」は90歳まで出来るものもあれば、一切出来ないものもあります。これまでは80歳まで更新ができた商品でも、「75歳までしか更新できない」というように改訂となったケースもあるので要注意です。
上記でご案内した商品は、更新は一切無しという割り切りのもとに検討すべき商品と言えますが、定期保険の加入者の中には保障が一生涯有効とおそろしい勘違いしている方も結構います。保険を見直すときは、月額の費用だけではなく、保険期間・保障内容もしっかり把握しておきたいものです。
※文中のデータは、すべて2014/4/7現在のものです。
【経歴】
1979年生まれ 京都市出身。
同志社大学経済学部卒業後、日本ユニシス株式会社(現BIPROGY 株式会社)入社。一貫して金融機関向けITシステム開発業務に携わる。
金融システム開発の現場で、2007年~2009年頃のリーマンショックによる経済の大混乱、強烈な景気後退、資産の激減などを目の当たりにする。
その経験から、「これからの日本人の合理的な資産形成・防衛に、正しい金融リテラシーが絶対に必要」という強い思いを持ち、2011年4月 株式会社トータス・ウィンズに入社。
中小企業に特化したリスクマネジメント対策のコンサルタントとして、500社以上の中小企業、1,000人以上の保険相談業務に携わる。2015年、代表取締役就任。
法人保険活用WEBサイト『点滴石を穿つ』を運営する一方で、法人向け保険代理店として、東京都中央区を中心にコンサルティング活動を行なう。
【趣味】
美術館巡り、千葉ロッテマリーンズの応援
【自己紹介】
中小企業向けの金融商品が数多ある中で、わたしは一貫して『100%顧客優位な商品選び』をポリシーに中小企業経営者向けの保険活用プランニングを行なってきました。
これまでのキャリアでの最大の学びは、『お金やお金の流れに関する知識や判断力=「金融リテラシー」は、私たちが社会の中で経済的に自立し、生き抜くために必要不可欠』ということです。
そして金融・保険に携わるプロとして、何よりお客様に対する誠実さ・真心・信頼関係より大切なものはないと考えています。
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