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生命保険の解約返戻金に税金はかかる?確定申告が不要なケースについても解説

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生命保険の解約返戻金に税金はかかる?確定申告が不要なケースについても解説

公開日 2022年11月3日 更新日 2023年6月25日

物価上昇や賃金の伸び悩みのしわ寄せから、家計における大きなコストの一部、生命保険の見直しを迫られている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

契約途中で積み立て型の保険を解約した場合、受け取ることができるお金が「解約返戻金(かいやくへんれいきん)」です。

その解約返戻金には、想定外の税金がかかる場合があります。思わぬ税負担にならないよう、あらかじめ税金の掛かる仕組みを知っておいて損はありません。

この記事では、解約返戻金に対する税金の掛かり方や、確定申告をしなくても良いケース、それに契約者と受取人が異なるときの税法上の取り扱いについて解説します。

生命保険の解約返戻金とは?

生命保険の解約返戻金とは、契約の途中で保険を解約したときに受け取ることができるお金のことです。

解約返戻金のある生命保険は、以下の3種類に大別されます。

従来型

支払った保険料が増えるにつれて、解約返戻金も増えるタイプです。

従来型は、終身保険、個人年金保険、学資保険、養老保険など、さまざまなバリエーションの生命保険が該当します。返戻金の貯蓄性は商品によって大きく異なります。

低解約返戻金型

払込満了までの解約返戻率が従来型の70%と、一定期間にかぎり低く抑えられているタイプです。

低解約返戻型の保険は、一定期間の返戻金とともに保険料も割安に抑えながら、払い込み終了後の貯蓄性を高めた終身保険などがあります。

払い込み終了後の解約返戻率は従来型よりも高くなることが多い反面、払い込み期間中は解約返戻率が低いため、その間に解約すると大きく元本割れして損失が発生してしまいます。

無解約返戻金型

文字どおり解約返戻金がないタイプです。

無解約返戻型は掛け捨てタイプの医療保険やがん保険などで、解約返戻金がない分、月々の保険料が割安なのが特徴です。

生命保険の解約返戻金に税金はかかる?

保険の解約返戻金は、個人契約でも法人契約でも課税対象になります。

支払った保険料の総額よりも解約返戻金が上回って収益が発生した場合に限り、その収益に対して課税されます。

個人保険の場合

解約払戻金を一時金として受け取った場合は「一時所得」、解約払戻金を年金として受け取った場合は「雑所得」となり、いずれも所得税の課税対象となります。

法人保険の場合

解約返戻金は、法人税の課税対象となります。

以下、それぞれ詳しく解説します。

個人保険の解約返戻金の税金は?

個人保険の解約返戻金にかかる税金は、契約者(保険料の負担者)と受取人が同一の場合と異なる場合によって、課税される税金が以下のように異なります。

契約者と受取人が同一の場合

契約者と受取人が同じ場合、一時所得として所得税・住民税が課されます。

一括で受け取る解約返戻金から支払った保険料の総額を差し引いて利益が出た場合で、かつ利益が50万円以上のとき、その半額が課税一時所得となる仕組みです。

解約返戻金よりも支払い保険料の総額の方が高い場合、つまり利益が出なかったときは税金がかかりません。また利益が出たものの、その金額が50万円以下のときも同様に課税されないのです。

契約者と受取人が異なる場合

契約者と受取人が異なる場合には、所得税ではなく贈与税が課せられます。例えば契約者が夫で、受取人が妻や子どもだったときなどです。

贈与税の計算式は以下のとおりです。

解約返戻金が基礎控除額である110万円を上回った場合、金額ごとに定められた税率をかけた後に控除額を差し引いて、税額が決まります。

贈与税の場合、支払った保険料の額は一切考慮されません。受け取った解約返戻金全額に対して税額が算出されるため、一時所得と比べて税額が高くなる可能性があるのでご注意ください。

一般税率と特例税率

贈与税の計算に使う税率には一般税率と特例税率があり、対象となる財産と税率が異なります。

贈与税の一般税率

一般税率は、一般贈与財産に対する税率です。例えば、夫婦間の贈与や他人からの贈与が一般贈与に該当します。また、父母から18歳未満の子へ贈与する場合には、一般税率が適用されます

基礎控除を差し引いた金額 税率 控除額
200万円以下 10%
200万〜300万円以下 15% 10万円
300万〜400万円以下 20% 25万円
400万〜600万円以下 30% 65万円
600万〜1,000万円以下 40% 125万円
1,000万円〜1,500万円以下 45% 175万円
1,500万円〜3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円〜 55% 400万円
贈与税の特例税率

特例税率は、特例贈与財産に対する税率です。父母や祖父母から18歳以上の子に対する贈与の場合、贈与する財産は特例贈与財産となります。例えば、成人祝いとして祖父から孫へ財産を贈与した場合は特例贈与財産となり、特例税率を用います。

基礎控除を差し引いた金額 税率 控除額
200万円以下 10%
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

個人保険の解約返戻金は確定申告が必要?

解約返戻金を受け取った場合は、原則として確定申告が必要です。解約返戻金を支払った保険会社は「支払調書」という書類を税務署に提出するため、隠すことはできません。必ず確定申告を行ってください。

契約者と受取人が同一の場合には、所得税の申告が必要です。お金を受け取った翌年の2月16日~3月15日までに、最寄りの税務署に確定申告書を提出します。所得税申告のための書類は国税庁ホームページで入手可能です。

一時所得には50万円の特別控除があるため、利益が50万円以下の場合は税金がかかりません。また、返戻金による一時所得と副業など本業以外の所得を合わせて20万円以下の場合も、確定申告は不要です。

一方、契約者と受取人が一致しない場合には、贈与税の申告を行わなければなりません。贈与税の申告は受け取った翌年の2月1日~3月15日までに最寄りの税務署で行います。贈与税申告のための書類は国税庁ホームページで入手可能です。

なお贈与税には基礎控除110万円があるため、利益が110万円以下であれば贈与税はかかりません。

法人保険の解約返戻金には税金が掛かる?

法人保険の解約返戻金は会計上、「益金」(雑収入)として扱われ、課税されます。

解約返戻金から生命保険契約の資産計上額を差し引いて利益が出た場合には、法人税の対象となります。また、掛け捨ての保険などで保険料が全額損金となる場合、受け取った解約返戻金全額に対して法人税がかかるため、注意が必要です。

法人保険のうち定期保険で損金算入できるタイプの保険の場合、保険料を支払っているときは損金として計上できるため節税効果が期待できます。ところが解約返戻金を受け取ると、解約返戻金から保険積立金を差し引いた部分は、その期の特別利益として計上され、法人税を支払わなければなりません。

例えば、解約返戻金1,000万円、保険積立金500万円がある場合、法人税額は以下のように算出されます。

解約返戻金を受け取ると法人税の負担が発生します。その税負担を減らすには解約返戻金に相当する額の損金を増やすなど、何らかの対策が必要です。

解約返戻金の雑収入を相殺して税負担を抑える方法

同じ決算期内に何らかの方法で解約返戻金相当額の費用を発生させて、解約返戻金による収益と相殺させることができれば、法人税を余計に支払う必要がなくなります。

例えば、解約返戻金を受け取った年度に設備投資にかかる特別償却を行い、経費の前倒し計上として解約返戻金と同額を計上すれば、所得はゼロとなるため法人税がかかりません。

もしくは、繰越欠損金を使う方法もあります。繰越欠損金は累積赤字額であり、青色申告を行う場合に所得から控除できます。累積赤字額が大きい年度に生命保険を解約することで、経費の前倒し処理と同様の効果を得ることが可能になります。

生命保険の解約は慎重に

過去に加入した生命保険を解約する際には、ご自身の契約にどのような解約払戻金が設定されているか、確認することが大変重要です。

解約返戻金は、解約をかけるタイミングによって受け取れる割合が大きく異なるため、支払った保険料を大幅に上回る解約返戻金を受け取れるケースもあれば、逆に大きく損を出してしまうこともあります。

さらにその解約返戻金が課税対象になるケースでは、受け取り方を変えることで納税負担を低く抑えたり、工夫次第でゼロにすることも可能です。現金が必要だからと決して安易に解約して取り出すのではなく、契約内容を見極めて慎重に解約を検討するべきです。

まとめ

生命保険の解約返戻金は、個人でも法人でも原則として課税されるため、一般的には保険金の受取額から税金を差し引いた金額しか手元に残りません。

特に法人の場合だと、ほかの損金と相殺させたり繰越欠損金を活用したりする方法もありますが、その検討には経験豊富な法人保険のプロのアドバイスを活用するのが効果的です。

生命保険の解約返戻金のことでお困りの場合は、専門家への相談サービスを使うやり方があります。当社トータス・ウィンズでも無料相談を承ります。以下のフォームまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。

当記事がご参考になれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。