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合同会社の資本金はいくらにすべき?平均や目安、設立時のポイント

その他、雑感
合同会社の資本金はいくらにすべき?平均や目安、設立時のポイント

公開日 2023年2月10日 更新日 2023年2月10日

設立にかかる費用が少なくて済むため、合同会社での設立を考えているけれど、資本金をいくら用意して良いかわからないと悩んでいませんか?

合同会社の資本金にはルールがありますが、今後の経営のことも考えて金額設定する必要があります。この記事では合同会社における資本金の目安や、金額を決めるポイント、出資方法について解説しています。合同会社設立を視野に入れていて、資本金をいくらにするべきか検討している人はぜひ参考にしてください。

合同会社の資本金とは

資本金とは会社設立の際に元手となる資金のことです。株式会社と同様、合同会社も資本金が必要ですが、株式会社は出資者と経営者が異なる場合があるのに対し、合同会社は社員全員が出資者全員であり、会社の経営者であり決定権があるという違いがあります。

資本金は返済義務がなく、会社の経営に関連したものであれば用途も問いません。ただ開業時には開業費用や設備費用など何かと費用がかかります。また開業したばかりの頃は、経営がうまくいかず赤字になるかもしれませんが、そうしたときも資本金があれば補うこともできるため、資本金は計画的に使うように心がけましょう。

合同会社の資本金は、最低1円から設立できるが…

資本金が1円でも合同会社は設立できますが、合同会社は出資をしなければ経営に参加できないため、社員2人なら実質2円、3人なら実質3円必要です。

しかし少ない自己資金での会社設立は問題もあります。なぜなら会社の資本金はさまざまな局面で、人の目にさらされることになり、極端に少ない自己資金では、会社としての信用を得ることができないからです。

例えばどこかの業者から商品を仕入れたいと考えたとき、仕入業者が急に倒産して仕入が滞ることは避けたいので、倒産するリスクが少ない会社と取引をしたいと考えるでしょう。また商品を販売するにしても、倒産してお金が入ってこなくなるリスクの高い会社に販売したいとは考えません。資本金が少ないと、会社が不振になったときの耐性がないのではないか?と判断され、安心して取引ができる取引先として見なしてもらえない可能性があります。

また銀行から融資を受ける場面においても、資本金1円では体力がない会社で、貸倒れリスクが高いため審査に通りにくくなることも考えられます。

さらに建設業や一般労働者派遣事業のように、法律で定められた資本金を用意しなければ、許認可がもらえない事業もあります。

【資本金要件がある事業】

一般労働者派遣事業 2,000万円以上×事業所数
一般建設業 自己資本500万円以上
一般貨物自動車運送事業 規程の資金を自己資金額が上回っていることを証明する書類が必要(預金残高証明書など)
旅行業 300~3,000万円
有料職業事業 500万円

資本金が少なくても会社の設立自体は可能ですが、極端に資本金額が少ないと、会社の事業拡大に悪い影響が出かねません。では適正な資本金はどのように決めたらよいのでしょうか?

合同会社の適正な資本金を決めるポイント

合同会社の適正な資本金を決めるポイントは以下の3つです。

  1. 目安は運転資金の3〜6ヶ月分
  2. 合同会社の資本金の平均額
  3. 事業にかかる費用を見積もる

以下、各ポイントの詳細や、資本金が多い場合と少ない場合のそれぞれのメリット、その他注意点も併せて解説します。

1.目安は運転資金3〜6ヶ月分

資本金は会社設立の際に元手となる資金であることから、万が一経営がすぐに軌道が乗らなかった場合や、予想外の事故が起こったときなどにも対処できる資金は確保しておくべきでしょう。また商品を販売しても現金で受け取れるとは限らず、当月の売上げが売掛金として翌月入金となることもあります。

創業後のさまざまなリスクを考慮したうえで、資本金は運転資金の3~6ヶ月分を目安として準備しておきましょう。

2.合同会社の資本金の平均額

2022年10月の登記統計によると、合同会社の設立登記件数は2,994件、資本金総額は494,389万円です。

資本金総額を設立登記件数で割ると、1社あたりの合同会社の資本金平均額は約165万円となっています。

また2022年10月までに設立した合同会社の84.9%が、資本金300万以下となっています。

3.事業にかかる費用を見積もる

ここまでご紹介した資本金の目安は、過去の傾向にすぎません。実際に必要な金額は業種によって異なりますが、開業当初にかかる資金や、運転資金にはどのような支出が発生するのかを算出したうえで用意するべき資本金を考えていきましょう。

【検討すべき費用の例】

◆  開業時に係る費用・・・事務所を借りる際の敷金や保証金、内装工事費用、机や椅子、OA機器など

◆ 運転資金・・・給与、家賃、通信費、光熱費、仕入にかかる費用など

資本金が多いメリット

資本金が多い状態で合同会社を設立するメリットは以下のとおりです。

  • 事業拡大のチャンスが増える
  • 銀行からの融資を受けやすくなる
  • 業務の不振や不測の事態をカバーできる

資本金が多ければ業務の不振があったり、不測の事態が起こったりしても豊富な資本金でカバーすることができます。そのため周囲から、経営体力のある会社とみなされ、銀行の融資に通りやすくなる、取引先から取引するにあたり不安のない会社として評価されるなどのメリットがあります。

資本金が少ないメリット

一方、資本金が少ない場合も次のようなメリットもあります。

  • 合同会社設立の際の登録免許税が最低額の6万円で済む
  • 消費税の免税事業者になれる
  • 法人住民税の均等割の金額が少なくなる
  • 中小企業向けの優遇税制が受けられる

合同会社の登録免許税は、「資本金額×7/1,000」で計算するため、資本金を857万円ほどに抑えれば、最低額の6万円で済みます。また資本金1,000万円未満なら消費税の免税事業者になるため、要件を満たせば消費税が免除されます。

その他、資本金1,000万円以下なら、法人住民税の均等割が、資本金1,000万円超の事業所よりも安く済む、中小企業向けの税制優遇が受けられるなどのメリットもあります。

要注意:個人の借入金を資本金にしてはいけない

会社の信用を上げたいけれど、資本金として用意できるお金がない場合でも、個人の借入金を資本金にしてはいけません。なぜならお金を借りて資本金を増やすことは、本当は資本金がないにも関わらず資本金があると「見せかけている」ことになるからです。

仮に見せかけの資本金で、さまざまな取引先と取引しているのであれば、これはそれらの取引先を欺く行為と言えるのではないでしょうか。また、見せかけの資本金で金融機関から融資の審査に通った場合、詐欺行為に該当する可能性があります。いずれのケースも、自分の信用を大きく落とす結果になります。個人の借入金を資本金にあてるのは絶対に止めましょう。

資本金の出資方法は2種類

資本金の出資方法は2種類あります。

  • 現金出資
  • 現物出資

それぞれ詳しく解説し、最後に注意点についても補足します。

現金出資

出資金を現金で準備する、ごく一般的な方法です。業務の不振や不測の事態があっても、流動性のある現金を資本金として保有していれば対処しやすいというメリットがありますが、現金の準備が難しい人にとっては現物出資の方がメリットが大きくなります。

現物出資

資本金は必ず現金である必要はなく、不動産や有価証券、パソコンや車なども資本金として扱うことが可能です。現物出資は出資できる現金がなくても、手持ちの資産を活用できるため、資本金が大きくできる可能性があるというメリットがあります。ただし、実際に現金が手元にあるわけではないため、資金繰りが苦しくなったときの対策は立てておきましょう。

なお現物出資をした場合、合同会社の定款に現物出資者の住所や氏名、現物出資する財産の名称や数、価額を記載する必要があります。

要注意:払込証明書の保管が必要

合同会社設立にあたり、社員全員が資本金の振り込みを済ませたら、資本金が振り込まれたことを証明する払込証明書を作成し、保管する必要があります。払込証明書に必要な項目は以下の通りです。

  • 資本金の払い込みがあったことを証明しますという一文
  • 払い込みを受けた金額
  • 払い込みを確認した日付
  • 商号
  • 会社代表者の記名・押印

合同会社の資本金に関する知識

ここまで合同会社の資本金に関する基礎や、資本金を決めるポイントなどについて解説してきました。ここからは合同会社の資本金に関する知っておきたい知識を2つ紹介します。

資本金はあとから増やせる

合同会社設立後、新たに資本金を注入(増資)したいときは、新規社員に出資してもらう、または既存社員の出資などの方法であとから増やすことも可能です。資本金を増やすときは以下の手順で進めていきます。

  1. 総社員の同意
  2. 出資の履行
  3. 業務執行役員の同意
  4. 登記申請

なお増資の際は増資分の登録免許税として3万円か、増資金額×7/1000の金額、新規社員が出資するときは、さらに1万円が追加で必要です。

資本剰余金で出資金を実質0円にできる

合同会社は出資金の内訳を自由に決められるため、資本金全額を資本剰余金として計上し、資本金を実質0円とすることができます。

例えば1億円を出資した場合、本来は70万円の登録免許税がかかりますが、資本金が実質0円にできれば、登録免許税は最低の6万円で済みます。

まとめ

資本金とは会社設立の際に元手となる資金のことです。資本金1円から合同会社を設立することができますが、会社の対外的な信用が低くなることや、経営不振や不測の事態が起こったときのリスクを考えると、資本金は運転資金の3~6ヶ月は用意しておきましょう。

また資本金が多いメリットもありますが、資本金が少ないメリットもあります。合同会社の設立を検討していて、資本金について困ったことがあるときは専門家に相談してみましょう。

当社トータス・ウィンズでは、ご相談者の状況に合わせて綿密なヒアリングを行ったうえで、個々に最適なご提案をしています。資金面に不安があるという方は、ぜひ無料相談をご予約ください。当記事がご参考になれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。