保険アンサー

運営:株式会社トータス・ウィンズ

中小企業の保険の
悩みを解決する
メディア

HOME/ コンサルタントコラム/ 法人保険と個人保険の違い|メリット・デメリットを説明

法人保険と個人保険の違い|メリット・デメリットを説明

保険解説 法人保険とは?
法人保険と個人保険の違い|メリット・デメリットを説明

公開日 2023年5月7日 更新日 2023年6月5日

企業の経営者が生命保険に加入する場合、個人加入が良いか、法人加入のほうが良いか。悩むことがあるかもしれません。

実は、同じような保険でも法人契約と個人契約ではさまざまな違いがあるのです。

本記事では、法人保険と個人保険の違いについて解説します。ご自身の場合にはどちらがよいか、ぜひ参考にしてください。

法人保険と個人保険の違い

法人保険と個人保険の違いについて、それぞれのメリットやデメリットも合わせて解説します。法人保険と個人保険には、主に次の4点の違いがあります。

【法人保険と個人保険の違い】

  • 保険料を損金として扱うことができる
  • 保険金・給付金を受け取る際には特有の経理処理が必要
  • 法人保険は手続きが複雑
  • 保険料の支払人と受取人が異なる

それぞれ解説していきます。

保険料を損金として扱うことができる

法人保険は、その保険種類によっては毎月あるいは毎年の保険料を損金として計上することが可能です。一方、1回当たりの保険料が割高であることや、商品・条件によっては損金にできない場合もあります。

さらに、中途解約して受け取る解約返戻金は益金になるため、受け取り方によっては課税対象となる場合があることにご注意ください。

近年、法人保険の保険料を損金扱いとする税対策は取り締まりが厳しくなっています。そのため、法人保険への加入を検討する際には保険のプロとよく話し合っておくほか、税理士など専門家のアドバイスも受けると安心です。

ただし、個人が加入する生命保険には損金算入など経費として取り扱うことはできません。

保険金・給付金を受け取る際には特有の経理処理が必要

法人保険では、保険会社から支払われた保険金・給付金を雑収入として処理します。そののち、相殺できる損金がない場合には法人税がかかる仕組みです。

具体的には、法人保険で支払事由が発生した場合、保険会社から法人に保険金または給付金が支払われます。この時点で一度、帳簿付けが必要です。

具体的には、貸方を雑収入、借方を現金預金として処理します。その後、見舞金として従業員や役員に支払う場合、貸方を現金預金とし、借方を福利厚生費として処理する流れです。

これはあくまでも一例ですが、このように保険会社から入ってくるお金を一度経理処理し、その後支出する場合にも法人会計上の経理処理が必要です。

もちろん、個人の場合はこのような経理処理は必要ありません。

法人保険は手続きが複雑

前述した法人保険の経理処理と同様に、法人保険では何かと手続きがは複雑です。たとえば、保険会社から法人に支払われた保険金や給付金を、役員や従業員など個人に渡す時、別途手続きが必要になります。

これらの手続きは会計上・税務上のルールに基づくもので、主に法人税を意識した対応が必要です。法人に支払われる保険金等は益金扱いとなるため、金額や保険金等の受取方法によっては法人税の負担が増える要因になり得ます。

一方、個人が保険会社から病気やケガで給付金を付け取った場合は全額非課税扱いです。死亡時に支払われる死亡保険金は、被保険者の他の財産と同様に相続税の対象となります。

保険料の支払人と受取人が異なる

法人保険では、保険料を支払う人(契約者)は法人です。保険の対象となる人(被保険者)は経営者や役員、従業員全員のいずれかです。

被保険者に何かあった場合に給付金や保険金を受け取るのは法人または従業員の家族になります。被保険者や受取人は契約ごとに異なりますが、「法人保険」である以上、いずれの場合でも契約者は法人です。

法人保険に加入している経営者の方に万が一のことがあった場合、保険金を一括で受け取ると法人税が高くなります。保険会社から支払われる保険金は、法人の経理処理上では益金扱いとなるからです。益金は利益に算入されるお金ですから、法人税の課税対象になります。

そのため、一時金としてまとまった保険金を受け取るのではなく、分割で受け取るなど受け取り方の対策が必要です。注意したいのは、どの商品も受け取り方が選べるわけではない点です。法人保険加入前には、どのような受け取り方ができるのか必ずご確認ください。

目的によって加入すべきかどうか決定す べき

法人保険に加入すべきか迷ったとき、判断する基準についてあらかじめ決めておくとスムーズです。ここでは、次の3点についてそれぞれ解説します。

【法人保険への加入時に考えたいポイント】

  • 事業全般の保障のために入る
  • 税対策だけのために入るのはおすすめしない
  • 法人保険と個人保険のバランスを考える

事業全般の保障のために入る

法人保険は、経営者に万が一の事態があったときの資金繰り悪化を最小限に抑えることが可能です。また、役員や従業員を対象にした法人保険では、本人や家族の生活を守ることができます。このような、保険の本来の役割をもとに法人保険への加入を検討することが必要です。

法人の経営が赤字の状態で資金が少ない場合でも、法人保険への加入により事業の継続に備えられます。

ここからは、法人保険の具体的な種類について解説します。

【事業全般の保障のために入る保険種類】

  • 定期保険
  • 養老保険
  • 傷病保険
  • 損害保険
  • 終身保険

定期保険

定期保険とは、一定期間の死亡保障に備える目的の保険です。個人向け、法人向けいずれも販売されています。定期保険は貯蓄性がほぼないため、いわゆる掛け捨ての保険です。そのため、他の保険商品よりも保険料が割安であるという特徴があります。

ただし、法人向け定期保険の場合は、単に安価な保険料で死亡保障を目的とする以外に税対策として加入を検討するケースも少なくありません。

法人保険としての定期保険の場合、保険期間を長く設定することで、ある一定時期に解約返戻率のピークを迎えるように設計された特徴的な商品があります。具体的には、長期平準定期保険や逓増定期保険が法人保険としてのみ取り扱われている商品です。

長期平準定期保険や逓増定期保険は、解約返戻金を活用した資金対策としても使われることがあります。

養老保険

養老保険は、生死混合保険とも呼ばれる保険です。保険期間の満期時に被保険者が生存している場合には満期保険金を受け取れ、期間中に死亡した場合には満期保険金と同額の死亡保険金が支払われます。このように、養老保険は貯蓄性が高いという商品特徴があるため、保険料が割高です。

生存時と死亡時のいずれもカバーできる商品であることから、法人向け保険として考える場合には経費と資産のどちらかに計上しなければなりません。具体的には、保険料の半分は損金、半分は資産へ計上するのが一般的です。満期時に確実にまとまった満期金が受け取れることから、経営者や役員の退職金準備として活用することもできます。

傷病保険

がん保険や医療保険などを総称して傷病保険と呼びます。

傷病保険を法人保険として活用する場合、契約者を法人とし、被保険者を経営者または従業員にするのが一般的です。特に、従業員を被保険者とする傷病保険では、保険会社から法人が受け取る給付金を従業員へ見舞金として渡すことにより、福利厚生の一環となります。

この場合、従業員全員を対象とした傷病保険にすることで、保険料を経費として算入することが可能です。このように傷病保険を福利厚生として活用する場合には、企業内の福利厚生規程にその旨を明記する必要があります。

損害保険

法人向けの保険といえば生命保険というイメージがありますが、実際には損害保険も含まれます。

具体的には、事業財産の損害補填のための火災保険や、顧客や取引先に損害を負わせた場合の賠償責任保険や履行保証保険などです。

法人の損害保険でも、生命保険と同様に保険料は法人が支払いますが、保険商品に積立金など貯蓄性のある内容が付帯されている場合には、その部分を資産に計上します。残りの部分は原則として損金算入が可能です。

終身保険

終身保険は、一生涯続く死亡保障が特徴の保険です。

従来からある終身保険では貯蓄性が高いため、資産形成の目的で加入することも少なくありません。そのため、法人保険として終身保険に加入する場合には、保険料の全額が資産計上となり損金計上ができません。

ただし、一生涯続く死亡保障という終身保険本来の特徴から、経営者の死亡リスクに備えるために活用する使い方ができます。

税対策のためだけに入るのはおすすめしない

法人契約での保険加入を検討する場合には、「保険本来の保障」を大前提にする必要があります。節税対策として効果があるのはあくまでも法人保険の副産物であり、それが第一の目的ではありません。

そもそも、法人のキャッシュフローは逐一帳簿付けするのが鉄則です。保険に関しても同様であり、保険会社から保険金や給付金を受け取ったときには然るべき経理処理を行わなければなりません。

法人保険への加入で目先の節税対策ができることもありますが、実際に保険金を受け取るまでの長期間で考えた場合には節税になるとは限りません。

総合的に考えると、税金対策だけを目的とすることはおすすめできません。

法人保険と個人保険のバランスを考える

経営者が保険加入を検討する場合、「法人保険とするか、それとも個人保険とするか」熟慮したほうが良いでしょう。

会社の万一に備えたい場合、基本的には法人保険とすべきです。しかし、家族のために残したい場合などでは個人保険とすべきです

個人契約の一般的な生命保険では、死亡保険金や医療給付金などは、申請から実際に振り込まれるまで約1週間ほどです。その際、保険会社から個人の銀行口座へ直接振り込まれるため、用途を問わずすぐ使うことができます。

法人契約の場合、保険金・給付金等は原則的に法人口座へ支払われます。従って通常、経営者だけの裁量で資金をすぐに動かすことは難しいでしょう。

したがって、個人契約と法人契約で何を目的としているのか明確にしておかなければなりません。個人と法人いずれも加入できる保険であれば、総合的なバランスも勘案してご検討ください。

法人保険の注意点

ここからは、法人保険の注意点について解説します。

【法人保険の注意点】

  • 返戻率の計算や受取までを計画的に
  • 保険商品によって細かな条件が異なる場合がある
  • 節税を強くアピールする営業マンには要注意
  • 個人保険から法人保険へ切り替えたときは経理処理が必要

返戻率の計算や受取までを計画的に

法人契約で保険に加入すると、商品によっては保険料を損金算入できます。

損金算入できるということは、法人税対策として有効に働くということです。しかし、実際に保険金を受け取る場合には、益金となるため雑収入として計上します。保険料を払っている期間中は節税になっていたとしても、解約したときや保険金等の受取時にどうなるか、出口戦略まで含めた検討が必要です。

解約時期によって返戻金額が変動することを考慮しておいたほうがよく、加入時や加入後もどの時点での解約が良いのか目途をつけておきましょう。

さらに、税務調査への対策として保険金・解約返戻金の受取と退職金の支払いについて、社内規程で明確にしておくことも必要です。

保険商品によって細かな条件が異なる場合がある

前述の終身保険のように、法人契約の保険であっても保険料を損金として計上できない商品があります。

また、法人保険における経理処理は煩雑で、保険商品や契約者と被保険者、受取人の関係によって経理処理や課税関係が異なるので注意が必要です。加入時や加入後、給付金や保険金の受取時には保険のプロや税理士など専門家に適宜相談しながら進めましょう。

たとえば、定期保険を中途解約し、解約返戻金を受け取る場合の経理処理は次のとおりです。

・解約返戻金4,000万円を法人が受け取る

・前払い保険料(資産計上分)が4,000万円のうち3,000万円の場合、雑収入として残りの1,000万円は益金計上となる

節税を強くアピールする営業マンには要注意

2019年から法人保険における損金算入の規制が厳しくなっています。法人保険は、経営者や役員の勇退資金の確保や経営上必要となる資金確保の目的で加入するのが本来の目的です。

そこで、適正な範囲での損金算入を促す目的で、現在は一定のルールのもと法人保険が販売されているのです。それにもかかわらず、税金対策としての法人保険加入を強くアピールする営業マンには注意しなければなりません。

法人保険の本来の目的は税対策ではなく、あくまで「もしもの事態に備えること」である点を忘れないようにしましょう。

<参考記事>

なぜ法人保険で節税はやめたほうがいいと言われるのか?

個人保険から法人保険へ切り替えたときは経理処理が必要

個人保険から法人保険へ切り替える際には、単なる名義変更だけの手続きでは終わりません。

たとえ実際に金銭授受がなくても法人側では契約の贈与が発生したり、金銭授受があれば個人側で一時所得が発生したりします。

つまり、個人保険から法人保険へ切り替える場合には、個人から法人へ権利を譲渡することになり、法人側では相応の経理処理が必要ということです。

たとえば、個人事業主として個人保険に加入していた場合、のちに法人成りした際に法人保険に切り替えるケースなどです。逆に、法人契約で加入した保険を退職に伴い個人保険に切り替えるケースも考えられます。

これらのケースでは法人保険のプロに相談し、どのような流れで行えばよいかなど指示を仰ぎながら手続きを進めていきましょう。

法人保険のご相談はトータス・ウィンズへ

トータス・ウィンズでは、特定の保険会社に忖度しないフラットな保険の提案が可能です。

また創立20年以上、法人保険専門でノウハウを積み重ねてきたため、法人税対策や資金繰りなど法人特有のニーズに目線を合わせたサービスに強みがあります。中小企業の財務コンサルタントとして、保険だけでなく総合的な視点で寄り添ったサポートが可能です。

法人保険では、同じような保障内容の保険でも保険会社や喫煙の有無、健康状態などにより保険料・解約返戻金(率)に大きな差があります。ひとつひとつは大した差でなくても、合計すると相当大きな違いが出てきます。法人経営は長い道のりですので、目先だけの損得ではなく、長期的かつ多角的な視点からのアドバイスが必要です。

トータス・ウィンズでは、ひとつひとつの保険商品情報のみならず、相対的な比較や、中長期的に経営にどのような効果をもたらすのか。デメリットもありのままにお伝えする義務があると考えております。法人保険専業20年以上の経験と知識をぜひお役立てください。

まとめ

法人保険と個人保険のどちらが良いか考える場合、まず何を目的として加入するのかを明確にすることから始めましょう。法人経営者や役員の勇退資金や事業資金の確保や、従業員全員に対する福利厚生の一環として検討する場合には法人保険がおすすめです。

しかし、企業の経営状態や規模、加入したい目的によっては必ずしも法人保険だけが選択肢ではありません。あえて個人保険を選んだ方がいい場合もあります。

トータス・ウィンズは、貴社のご状況に合わせてお話をお伺いします。そのうえで、法人保険に特化した経験と知識を基に最適なアドバイスをさせていただきます。法人保険も含めた企業の財務相談は、私たちトータス・ウィンズまでお気軽にご相談ください。