公共サービスもタダじゃない!
質問者「じてこ先生、そもそもの話なんですけど、なぜ私たちは税金を払わないとダメなんでしょうか?」
じてこ先生SASA「(いきなり、ざっくりした質問がきたなぁ……)うわぁ、めちゃくちゃむずかしい質問ですね〜。
まずは型通りにお答えすると、『生活インフラの整備や、教育・警察・消防・防衛といった各種の公共サービスを実施するにはお金が必要だから』というのが模範解答になります。どうですか? この答えで、さち子さんの疑問は解消できますか?
……そういえば、僕が国税局に務めていたときにも、国民の納税意識を高めるための『租税教室』というイベントで、子供たちにはそのように教えていましたねぇ。」
質問者「なるほど。まぁ、中学校の社会科の授業なんかでも、その辺りは習った気がします。それはそれとして、実は私、最近TikTokで経済系のインフルエンサーが話している動画をよく見ているんですけど、政府や中央銀行がお金を発行できるんだから、消費税なんて廃止しても問題ない、というようなことを言う方が結構いるんですよ。これは本当の話なのかな〜と思いまして、せっかくなのでお聞きしたんです。」
各種メディアで触れる「大きな話」とどう付き合う?
じてこ先生SASA「なるほどなるほど。そのテイストのお話ですね。う〜ん、僕は税理士で経済学の専門家ではないので、あくまで話半分に聞いてくださいね。
その上で僕の考えを言うと、政府やその傘下の中央銀行がお金をいくらでも発行できるから、消費税を廃止したとしても財政的には問題が生じないよ、という理論・理屈は、1つの可能性としては実際にあるのかもしれません。
ただ、本当に問題ないかどうかは、試してみないことにはわからないんだろうなと。そして、仮に実際に試してみたところで、やっぱり消費税が一番の悪者で財政が健全になりましたとか、逆にいきなり財政破綻してハイパーインフレになりました、といったようなハッキリした答えは出てこないんじゃないかなぁ、と考えています。」
質問者「……どういうこと?」
じてこ先生SASA「たとえば、アベノミクスのとき、異次元の金融緩和で当時の日銀総裁の黒田さんがバズーカを打ちましたよね。これは、中央銀行が市場に出回るお金の供給量を増やすことで、経済を活性化させる政策だったわけです。
でも、その結果、日経平均株価が上がったり、失業率が下がったりと一定の効果はありましたけど、実体経済が成長して国民生活が豊かになったか? デフレが終わったか? と言われたら、そこまで成功したとは言い切れないでしょう。
いや、効果的だった、長期的に見ればデフレ脱却の環境をつくった、消費増税さえなければ……とか、逆にいやいやそんなことはなくて大失敗だったとか、いろいろと議論はあるんですが、最終的な結論は出ていません。
本当に結論が出るのはおそらく何十年も先で、もしかしたらずっと結論は出ないかもしれません。」
質問者「経済には答えがないってことですか?」