2008年の世界的な金融危機を契機に、国際金融規制の在り方が大きく変わった。金融危機に対して当時の金融規制が有効な防波堤となり得ず、抜本的な見直しを迫られたのである。金融危機を招いた反省から、各国の合意のもと金融安定理事会(FSB)が09年に設立されるなど、国際的に金融システム全体を把握し、有効な国際基準が包括的に制定される体制が構築された。

金融危機直後の最大の課題が「G-SIFIs(Global systemically Important Financial Institutions)」、いわゆる「Too big to fail(大き過ぎてつぶせない)」の問題をどのように解決するかであった。今回はこの問題の背景や実際の規制議論、基準策定までの過程などを解き明かしたい。

FSBが要請したG-SIFIs規制

FSBは10年10月に、G-SIFIsの規制基準のフレームワークと作業計画を発表した。この文書で、G-SIFIsの規制は通常の金融機関の規制よりも厳しく制定すべきであるとされた。

具体的には、G-SIFIsに対して(1)再建・破綻計画、(2)資本の上乗せ基準、(3)より厳格な監督基準、を適用するべきであると結論付けた。また、G-SIFIsの認定基準、規制基準の策定を担当する国際基準制定主体と作成時期が明記された。G-SIFIsの対象には銀行に加えて保険会社がその範疇に入り、翌年の11年までにこの作業を完成させることが要請された。

銀行規制基準を担当するバーゼル銀行監督委員会(BCBS)と、保険規制基準を担当する保険監督者国際機構(IAIS)は、直ちにG-SIFIsの認定基準と規制基準の制定活動に入った。BCBSはG-SIBs(Global Systemically Important Banks)の認定基準、国際資本基準への上乗せ基準、G-SIBsに該当する銀行のリストを予定どおり11年秋に完成させた。

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