【東京 法人保険 最新ニュース】なぜビッグモーターと損保ジャパンは癒着したか?保険営業のプロが指摘する構造的な“矛盾”と保険業界全体への余波
目次
ニュース概要
現在、何かと話題となっているビッグモーターの問題ですが、自動車保険関連の問題も出ており、保険業界にいる我々にとっても影響が波及してきそうな状況です。一番の問題点は同社の業績至上主義や無秩序なコンプライアンス・ガバナンス体制であり、どちらかと言えば「個社の問題」であると言えます。ただ、この「個社の問題」を生み出した背景には、自動車業界と損害保険業界が抱える構造的な矛盾が原因であると言えます。(『奥田雅也の「無料メルマガでは書けない法人保険営業ネタ」』奥田雅也)
ビッグモーター問題が「保険業界」全体に影響する
現在、何かと話題となっているビッグモーター社(以下BM社)の問題ですが、自動車保険関連の問題も出ており、保険業界にいる我々にとっても影響が波及してきそうな状況です。
本メルマガはあくまでも法人保険営業がメインテーマですが、今回は損保会社を巻き込んだ騒動になっており、保険業界人としては看過できないと思い、取り上げました。
本件が今後、保険業界にどのような影響を与えるのか?に私は興味があります(※なお本稿はあくまでも奥田個人の意見・見解であり、所属団体や所属会社の意見ではないことを十分に踏まえた上でお読みください)。
まずはいろいろな報道から、事実関係を時系列で確認します。
<2021年11月>
BM社の社員が保険金の過剰請求をしていると損保協会へ通報。
<2022年2月~3月>
損保3社がサンプル調査をしたところ、保険金不正請求が疑われる事案を複数発見。
<2022年6月上旬>
損保3社が合同でBM社に対して自主調査を依頼。同時に3社がBM社への事故車の入庫誘導を停止。
<2022年6月下旬>
BM社から損保社に対して不適切な保険金請求があったことを報告。BM社は現場のミスが原因であると報告。
<2022年7月>
BM社への事故車誘導を止めていた損保ジャパンが「組織的関与はなかった。再発防止策を徹底させる」とのリリースを出して事故車誘導を他2社に先がけて再開。
<2022年8月>
週刊誌が一連の騒動を報道。
<2022年9月>
報道を受けて損保ジャパンは再度、事故車の入庫誘導を停止。
<2023年2月〜3月>
不正改造や車検の不正が発覚し、一部店舗で業務停止処分や民間車検場の指定取り消し処分を受ける。
<2023年4月>
タイヤに穴をあける不正整備を指導した動画が流出。
<2023年7月>
不正請求に関する報道が出た後、公式HPにて「当社板金部門における不適切な請求問題に関するお詫びとご報告」というリリースと社内の処分を公表。その後25日に代表取締役の交代、28日には国土交通省が立入検査を実施。
という流れです。
(参照)
ダイヤモンドオンライン:https://diamond.jp/articles/-/310206
Friday DIGITAL:https://friday.kodansha.co.jp/article/307591
ビッグモーター公式HP:https://www.bigmotor.co.jp/その後、街路樹問題や架空契約などは報道の通りです。最新の情報は日経新聞に特設サイトがありますので、ご確認ください。
問題の背景には、自動車業界と損保業界の構造的な「矛盾」があった?
今回、一番の問題点はBM社の業績至上主義や無秩序なコンプライアンス・ガバナンス体制であり、どちらかと言えば「個社の問題」であると言えます。
ただ、この「個社の問題」を生み出した背景には、自動車業界と損害保険業界が抱える構造的な矛盾が原因であると言えます。
自動車販売業者が、自賠責保険を取扱い、顧客の要望によっては自動車保険の任意保険の取扱いも行います。
自賠責保険はご存じの通り強制保険ですから、加入していなければナンバープレートが交付されませんし、車検も通りません。
そして自賠責保険は国の制度ですから、保険会社によって違いがないので、どの保険会社で自賠責保険に加入するか?は自動車業者に任されています。
自賠責保険は「ノーロス・ノープロフィットの原則」に基づき、損失も利益も出さないよう収支を調整するために、保険料は毎年検証が行われ、必要に応じて保険料は改正されます。
一部報道では、自賠責保険料に含まれる付加保険料部分に保険会社のメリットが生じるとされていますが、私にはこの真偽のほどは分かりません
ただ保険会社として、自賠責保険は収入保険料として売上計上ができるために、多くのシェアが欲しいのは事実です。
そこで契約者の意向が全く関係のない自賠責保険をどこの保険会社へ出すかは自動車業者の裁量に任されているので、どうせ出すなら自社にメリットを提供してくれる保険会社へ自賠責保険を出すというのは自然な流れになります。
(本文の続きは、以下のリンク先にあります)
【経歴】
1979年生まれ 京都市出身。
同志社大学経済学部卒業後、日本ユニシス株式会社(現BIPROGY 株式会社)入社。一貫して金融機関向けITシステム開発業務に携わる。
金融システム開発の現場で、2007年~2009年頃のリーマンショックによる経済の大混乱、強烈な景気後退、資産の激減などを目の当たりにする。
その経験から、「これからの日本人の合理的な資産形成・防衛に、正しい金融リテラシーが絶対に必要」という強い思いを持ち、2011年4月 株式会社トータス・ウィンズに入社。
中小企業に特化したリスクマネジメント対策のコンサルタントとして、500社以上の中小企業、1,000人以上の保険相談業務に携わる。2015年、代表取締役就任。
法人保険活用WEBサイト『点滴石を穿つ』を運営する一方で、法人向け保険代理店として、東京都中央区を中心にコンサルティング活動を行なう。
【趣味】
美術館巡り、千葉ロッテマリーンズの応援
【自己紹介】
中小企業向けの金融商品が数多ある中で、わたしは一貫して『100%顧客優位な商品選び』をポリシーに中小企業経営者向けの保険活用プランニングを行なってきました。
これまでのキャリアでの最大の学びは、『お金やお金の流れに関する知識や判断力=「金融リテラシー」は、私たちが社会の中で経済的に自立し、生き抜くために必要不可欠』ということです。
そして金融・保険に携わるプロとして、何よりお客様に対する誠実さ・真心・信頼関係より大切なものはないと考えています。
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