【東京 法人保険 最新ニュース】住友生命が「健康志向」の火つけ役に、累計100万件を突破したスゴい保険の“意外”な効果
【ニュース概要】
住友生命が2018年に開始した健康増進型保険“住友生命「Vitality」”は、生命保険業界に大きなインパクトを与えた。
それは、生命保険の常識を覆す「保険料の変動制」を採用しているからだ。発売に際しさまざまな反応が予想されたが、好評を得て、2021年度には累計販売件数100万件を突破し、多くの企業との協業も実現している。
好調を維持し続けるVitalityについて、商品開発の経緯や予想外の効果を住友生命情報システム部・理事 デジタルオフィサーの岸和良氏に聞いた。
健康増進型保険「Vitality」の開発の狙い
住友生命が「あなたの未来を強くする」というメッセージを打ち出したブランド戦略を展開したのは、2011年のことだった。そして2010年代を「未来を強くする10年」と位置づけ、このメッセージを具現化するサービスとしてスタートしたのが「Vitality」だった。Vitalityの開発を進めてきた住友生命情報システム部・理事 デジタルオフィサーの岸和良氏は、開発の経緯を次のように説明する。
「我々が目指していたのは『顧客価値を高める』ことです。この目的を実現するために、データやデジタル技術を使って、ビジネスモデルの開拓を進めました。私たちの掲げた『あなたの未来を強くする』というコンセプトに資する商品・サービスについて協議を重ねた結果、Vitalityの名が挙がりました」(岸氏)
Vitalityとは、南アフリカ共和国の金融サービス会社であるディスカバリー社が、1997年から販売している健康増進プログラムである。各国1社が独占契約を結ぶ形態で、2022年2月の時点で、日本のほかに米国・英国・中国・オーストラリア・ドイツなど、36の国と地域でサービス展開されている。この契約形態について岸氏は次のように解説する。
「Vitalityは1国1社と提携して導入するプログラムで、契約の考え方の基本はシェアードバリューです。つまり、互いに協力しあって得た知見や収益をシェアする契約です。南アフリカ共和国のディスカバリー社はすでに20年以上、世界でサービスを展開しており、日本でもデータの提供、パートナー企業の紹介などをしてもらっています。日本特有のデータや技術開発もあり、互いの価値をシェアしながら友好関係を築いています」(岸氏)
住友生命がディスカバリー社と独占契約を結び、Vitalityの開発がスタートしたのが2016年だった。岸氏はVitalityの革新性を実感したという。
「Vitalityの開発が決定した時に、生命保険会社もお客さまも大きく変わるだろうなと感じました。これまでの生命保険会社のビジネスモデルは、お客さまから保険料をいただき、入院・ケガ・死亡時などに保険金・給付金を支払うものでした。しかし、Vitalityは健康状態の確認や運動などといった健康増進活動への取組みでポイントを獲得でき、そのポイントに応じて判定されたステータスによって保険料が変動する仕組みです。加えて、パートナー企業から提供いただく特典(リワード)も楽しむことができます。お客さまの健康に寄与するビジネスモデルの構築が、我々のDXと言えるものなのです」(岸氏)
生命保険の常識を覆す「保険料の変動制」実現のための必要条件
“住友生命「Vitality」”は、健康増進の取組みをサポートする健康プログラムを生命保険に組み込んだ商品である。ウエアラブル端末やスマホを活用した歩数や心拍数等のバイタルデータの計測、スマホアプリでの健康アンケートへの回答、健康診断結果の入力などでポイントが獲得できる仕組みになっている。リスクに備えつつ、健康増進活動を行うことで、リスクを軽減させる保険商品なのだ。
加入者の健康増進活動への取組み度合いによって保険料が変動するなど、これまでにない新しい仕組みの導入は勇気ある決断だろう。岸氏は導入決定時の状況を次のように語る。
「社内でも導入にあたっては意見が割れました。健康のために運動している人は、保険料が安くなりますが、健康増進活動を全く行わない人は高くなってしまいます。それで良いのかということが問題になったのです。保険料の仕組みについて様々な意見があったものの、最終的にはVitalityを通じた健康増進活動の推進はまさに『お客さまの未来を強くする』というビジョンに資するとの結論に達し、開発を進めることができました」(岸氏)
“住友生命「Vitality」”は、加入者の健康増進活動の程度によって、ゴールド・シルバー・ブロンズ・ブルーというステータス判定を行う。ゴールドは、最大で保険料がBasic保険料(Vitalityを付加しない場合の保険料)の70%に減少する一方、ブルーは最大で保険料がBasic保険料の110%に増加する。Vitality開始にあたり、保険料の変動への対応が大きな課題になった、と岸氏は説明する。
「生命保険は10年ごとの更新の場合、10年間は保険料が変わらないのが通常です。ステータスによって保険料が変わる仕組みは、保険料の収納部門にとっては青天の霹靂とも言える大きな変化でした。毎年保険料が変動すると収納に係る事務量が増大し、ミスが発生する確率も上がります。これに耐えられるシステム、事務フローの構築は大きなハードルでした」(岸氏)
各部門の理解を得ること、そしてシステムの検証を繰り返すことで、正確性と効率性とを両立したシステムを構築したという。
「保険料の収納事務にミスが発生すると、生命保険会社の信用に関わるため、Vitality導入にあたってはシステムの検証をこれまで以上に数多く行う必要が出てきました。開発段階だけでなく、現在もテストを続けています」(岸氏)
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【経歴】
1979年生まれ 京都市出身。
同志社大学経済学部卒業後、日本ユニシス株式会社(現BIPROGY 株式会社)入社。一貫して金融機関向けITシステム開発業務に携わる。
金融システム開発の現場で、2007年~2009年頃のリーマンショックによる経済の大混乱、強烈な景気後退、資産の激減などを目の当たりにする。
その経験から、「これからの日本人の合理的な資産形成・防衛に、正しい金融リテラシーが絶対に必要」という強い思いを持ち、2011年4月 株式会社トータス・ウィンズに入社。
中小企業に特化したリスクマネジメント対策のコンサルタントとして、500社以上の中小企業、1,000人以上の保険相談業務に携わる。2015年、代表取締役就任。
法人保険活用WEBサイト『点滴石を穿つ』を運営する一方で、法人向け保険代理店として、東京都中央区を中心にコンサルティング活動を行なう。
【趣味】
美術館巡り、千葉ロッテマリーンズの応援
【自己紹介】
中小企業向けの金融商品が数多ある中で、わたしは一貫して『100%顧客優位な商品選び』をポリシーに中小企業経営者向けの保険活用プランニングを行なってきました。
これまでのキャリアでの最大の学びは、『お金やお金の流れに関する知識や判断力=「金融リテラシー」は、私たちが社会の中で経済的に自立し、生き抜くために必要不可欠』ということです。
そして金融・保険に携わるプロとして、何よりお客様に対する誠実さ・真心・信頼関係より大切なものはないと考えています。
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