70代経営者夫婦…無事に承継・引退するも「相続が不安」
今回の相談者は70代の福田さんです。自分と夫の相続について悩んでいるということで、筆者のもとを訪れました。
福田さんは65歳まで、同い年の夫と会社を経営していました。会社の経営も順調で、地方に支社を持つまでに成長しています。2人いる子どもたちはすでに独立・結婚して別世帯となっています。
「子どもに会社を継いでほしいと考えており、長男・長女とも、30歳になる前に、うちの会社に戻ってもらいました」
長男と長女は、いずれも新卒で大手企業に就職しましたが、その後、後継者となるために福田さん夫婦が経営する会社に入社しました。また、福田さん夫婦も経営を子ども世代に任せるべく、数年かけて自社株を贈与しながら事業継承の準備をし、65歳を迎えたのを機に、完全にリタイアしました。
いまは長男が社長、長女が専務となり、問題なく会社を運営ししています。
「福田さん夫婦が会社を創業してから、30年近くがたちます。もちろん大変な時期もありましたが、おかげさまで成長しました。役員報酬のほかに、退職金となる生命保険の積み立てもおこない、退職時には夫が1億円、私は8,000万円の退職金を受け取っています」
「俺の死後のことまで考えたくない!」
これまでも金融資産を積み上げてきたことに加え、さらに退職金が加算されたことで、相続対策について検討するべきタイミングになったと福田さんは言います。
「なんらかの節税対策をしながら、遺言書も作成することを検討しているのですが、夫と足並みがそろわないのです…」
福田さんはしっかりと対策を立てておき、自分自身も、子どもたちも不安を感じないようにしておきたいのですが、夫はそうではないといいます。
「いくら私が相続対策を急かしても、夫は動こうとしません。〈自分の財産は好きなように使わせてほしい〉〈俺が死んだあとのことまで考えたくない。みんなでどうにかすればいい〉といって、まったく協力しないのです…」
妻子のアドバイスは、夫の耳に届かないようです。
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