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【東京 税対策 最新ニュース】個人事業主「まさか領収書を1枚1枚見ることはないよね?」…⇒いいえ、そのまさかです。税務調査官の“目のつけどころ”に驚愕【税理士が解説】

税対策

ニュース概要

松本 崇宏
 

税務調査の対象になると、領収書や帳簿などの書類が税務調査官にチェックされることになります。領収書は膨大な枚数になっているでしょうから、「まさか1枚1枚見ないよね?」と考える方もいるかもしれません。しかし領収書は基本的には全部見ると思っておきましょう。税務調査官が領収書のどんな点を調べているのか、領収書以外にはどんな書類が調査の対象になるのか。また、税務調査の流れや内容はどのようなものか。税理士法人松本が解説します。

税務調査は何をする?

税務調査とは、納税者の申告が適正に行われているかを確認するための調査です。税務調査をすると言われると不正をしていなくても、身構えてしまう人もいるでしょう。税務調査の目的や流れについて、正しく理解をしておきましょう。

 

■税務調査の目的

税務調査の目的は、納税者が正しく申告をしているかどうかを調べるものです。悪意がなくても確定申告でミスをしてしまう場合があるかもしれませんし、中には故意に不正をしているケースもあります。申告内容に誤りがないか確認し、正しく納税している人との不公平感が生じないように正しい申告・納税ができるように指導していきます。

 

■税務調査の種類

税務調査は、任意調査と強制調査があります。

 

任意調査:

⇒任意調査とは、納税者の同意のもと行われる調査で、いわゆる一般的な税務調査です。事前に税務署から連絡があり、2日間で帳簿などの資料が調べられます。「任意」という名前がついてはいますが、拒否をすると罰則の対象となりますので拒否はできません。

 

強制調査:

⇒強制調査は、不正や脱税の疑いがある納税者を対象としたもので、裁判所の令状を得た国税局査察部による調査です。刑事事件として立件することが目的であり、「マルサ」と呼ばれる査察部門です。強制捜査では100~200人の税務調査官が投入されるため大規模なものとなります。一般的には多くの税務調査が任意調査となっています。

 

■税務調査の時期

税務調査に明確な時期はありませんが、以下のような傾向があります。

 

●確定申告後の4~5月頃

●国税局や税務署の人事異動が終わる7月~11月頃

 

会社の決算時期にもよりますが、日本は3月決算法人が多数を占めるため7月~11月が調査の件数が多くなる時期となっています。7月~11月に行われる税務調査は、税務調査官の営業成績に影響がある時期であるといわれています。

 

■税務調査の流れ

税務調査は、企業だけでなく個人事業主に行われる場合もあります。いつ調査の対象になっても不思議ではありませんので、税務調査の流れについて確認しておきましょう。

 

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<税務調査の流れ>

①税務署から事前連絡がくる

②調査実施日の日程を決める

③必要書類を準備する

④店舗や事務所に税務調査官が訪れ、調査が行われる

⑤税務署からの質問に答える

⑥調査結果の通知

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任意調査の場合は税務署から事前に電話連絡がありますので、その電話で日程を決めます。税務調査当日は税務調査官が店舗や事務所に訪れ、社長や経理、顧問税理士への質問が行われます。訪問後も指摘や質問があれば、必要な資料を準備したり、適切な回答をしたりします。「申告是認」「修正申告」「更正」の3パターンの結果により、必要があれば追従課税を支払います。

 

■税務調査での領収書チェック

「税務調査で領収書は全部見るのか?」と疑問に思われる方も多いようです。全ての領収書を1枚1枚チェックするなんてあり得ないと思うかもしれませんが、基本的には全ての領収書がチェックされると思っておきましょう。

 

領収書のチェックは、金額だけではありません。どのような点を確認されているのかを把握しておきましょう。

 

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<金額以外のチェックポイント>

●内容・中身の確認

●不正がないか

●売上の記入漏れがないか

●架空計上がないか

●資産計上すべきものがないか

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■内容・中身の確認

税務調査で領収書を見る時には、買い物の内容をチェックしています。私的な買い物がないか、生活費に関連する買い物が混ざっていないかという点です。個人事業主だと、特に生活費と経費のボーダーラインが曖昧になりがちです。例えば、ドラッグストアやスーパーで買い物した商品が、本当に事業に関係のあるものなのかを細かくチェックされています。小さなレシートであっても、記載内容が確認されていると覚えておきましょう。

 

■不正がないか

数字の改ざんなどの不正がないか、金額は正しく申告されているかという点です。数字を書き換えているとボールペンのインクの色合いなどから、簡単にバレてしまいます。主に筆跡・金額改正・日付けをチェックされています。

 

■不自然な筆跡はないか

偽造された領収書が申告されていないかをチェックするため、不自然な筆跡がないかという点を見られています。「自分で架空の領収書を作成している」「お店で空の領収書をもらっている」という場合は、筆跡が同じなので税務調査が入るとバレやすくなります。

 

「別のお店なのに筆跡が同じである」「同じお店の領収書で日付けが離れているのにボールペンの色合いや筆跡が同じである」という場合は、不正が疑われやすくなります。

 

■数字の金額不正はないか

領収書の金額を割増しするために、後から領収書の金額を不正に改ざんされていないかをチェックします。例えば、「1を4に書き足す」「1,000円の領収書を11,000円に改ざんする」というようなケースが多くみられます。印字された領収書よりも、手書きの領収書の方が改ざんされやすいです。数字の改ざんを疑われると、反面調査として取引先やお店側に調査が入る場合もあります。

 

■不自然な日付はないか

領収書の日付から不正がバレるケースもあります。例えば、曜日をチェックして、日曜日に飲食店の領収書があれば接待ではなく家族での外食ではないかと疑われます。出張中のため不在なはずの場所で領収書があると、おかしいと気付くでしょう。

 

他にも、同じ日にガソリンスタンドで2台分の給油をしていると、社用車と自家用車の双方の給油があったという事実も見抜かれてしまいます。

 

■売上の記入漏れがないか

現金でのやり取りがある場合は特に詳細を確認されるでしょう。売上の記入漏れを疑われないようにするには、「現金で収受したものは早めに事業用の通帳に入金する」「現金でのやり取りを極力少なくする」という点を心がけましょう。

 

法人で社長の個人用の通帳に売上の入金があるというケースも、疑われやすいです。故意に売上を抜いていると疑われないよう、事業用の通帳上で売上の管理をしていくようにしましょう。

 

■架空計上がないか

領収書の架空計上がないかという点も、重要なチェック項目です。そもそも存在しない経費を計上するのは、違法行為となります。白紙の領収書に金額を記入した際に水増ししていないか、または「外注費」という科目が注目されやすいので内容を細かく確認されるかもしれません。

 

■資産計上すべきものがないか

経費として購入した物が10万円以上になる品目は、一括で経費計上せずに減価償却資産として扱わなければいけません。車両や機械設備等は資産となり、資産計上が必要な品目となります。適切に減価償却処理が行われているか、税務調査でチェックの対象となるでしょう。

税務調査で調査の対象となる書類

税務調査でチェックされるのは、領収書だけではありません。他にも調査の対象となる書類がありますので、覚えておきましょう。

 

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<領収書以外で調査対象となる書類>

●確定申告での申告書類

●帳簿書類

●請求書

●契約書

●パソコン

●通帳

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■確定申告での申告書類

確定申告時に税務署に提出している申告書類全般は、税務調査でも調査の対象となります。

 

●法人税申告書(所得税申告書)

●消費税申告書

●決算書

●内訳書

●概況書

●給与支払報告書

●源泉徴収簿

●源泉徴収票

 

これらの書類が必要になりますので、税務調査の事前報告があったら準備しておくようにしましょう。

 

■帳簿書類

帳簿書類として必要になるのは、仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳です。事前に税務署内で行われた準備調査や当日のヒアリングを基に、税務調査官が目を通していきます。帳簿がない状態だと、無申告加算税または過少申告加算税に10%を加重されてしまいます。負担が大きくなりますので、注意しましょう。

 

■請求書

請求書は、支払の請求書と売上の請求書の双方が対象となります。請求書だけでなく、見積書や注文書もチェックされる場合があります。見積書を作成したにも関わらず、実際の受注に繋がらなかったという場合は、その旨がわかるように記載しておくと安心です。事実がそうならば大きな問題にはなりませんので、誰が見てもわかるようにしておきましょう。

 

■契約書

業務に関する仕入れや受注、業務委託の契約書はもちろん、事務所や社宅の賃貸借契約書もチェックされます。契約書の内容だけでなく、作成された日付や紙の劣化状態、「作成者は不自然ではないか」「印紙の貼り忘れはないか」といった点がチェックされています。手書きかパソコンで作成されたものか、といった点は問題ではありません。どのように作成されたかというよりも、やはり重要なのは中身になると覚えておきましょう。

 

■パソコン

近年ではパソコンを使って経理管理をしている企業も多いので、紙資料だけでなくパソコンも調査の対象となります。帳簿をデータで保存している、データ量が膨大になる、という場合には、データの提示を求められるかもしれません。「パソコンの中に疑わしいファイルがないか」「同じファイルが複数ないか」「ゴミ箱に怪しいファイルはないか」「保存日に不自然な点はないか」などが見られています。

 

■通帳

業務で使用している預金通帳も税務調査の対象となり、お金の流れがチェックされます。帳簿などの書類は事業者が作成するものですが、銀行通帳は金融期間が作成しているものとなり、改ざんしにくい資料だからです。「通帳まで見せなくてはいけないのか?」と不快に感じるかもしれませんが、事業用の通帳は見せなくてはいけません。ただし個人用の通帳は、事業に使用していない物であれば提示する義務はありません。

税務調査の手間を減らすために

税務調査は、当日の対応だけでなく、準備や質問への回答などが必要となり、大きな負担になります。このような手間を減らすためには、顧問税理士を依頼しておくのが得策です。

 

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<税務調査の手間を減らすために…>

●申告書は税理士が作成する

●税務調査は税理士立会いで行う

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■申告書は税理士が作成する

税務調査の負担を減らすためには、そもそも申告書の作成を税理士に依頼しておくのが対策となります。税理士が申告書を作成しても税務調査の対象になるケースはありますが、信頼性の高い申告書が作成できます。税務調査の事前連絡は、原則として税理士にくるようになります。税理士と税務署側でやり取りが行われた結果、税務調査が行われずに済むというケースもあります。

 

■税務調査は税理士立会いで行う

実際の税務調査が入った場合は、税理士立会いで調査を受けるようにしましょう。顧問税理士であれば事業のお金の流れを正確に把握していますので、スムーズに税務調査官に対応できます。間違った指摘を受けた際にも適切な対応ができますので、顧問税理士がついていると安心です。

税務調査の領収書は全部見られる覚悟で

税務調査は、納税者の申告が適正に行われているかを確認するための調査です。領収書やその他の書類・資料の準備が必要になりますので、事前に準備しておくようにしましょう。領収書は金額だけをチェックしているわけではありません。架空計上や改ざんがないか、日付は適切か、といった細かな部分までしっかり調査されています。税務調査の対象にならないために、税務調査の対象となった場合にはスムーズに受け答えできるよう、顧問税理士を依頼しておくと安心です。

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