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【東京 税対策 最新ニュース】超富裕層への課税強化で「1億円の壁」問題は是正されるか?

税対策

ニュース概要

昨年決定した「令和5年度税制改正大綱」では、NISA制度の拡充、贈与・相続関連の改正に注目が集まった。

一方、岸田政権が発足時より掲げていた、「金融所得課税」による格差是正については見送りとなった。代わりに、一部の「超富裕層」のみに限定した課税強化策が盛り込まれ、2025年から導入される見込みだ。

大綱の発表から2カ月が過ぎたが、この超富裕層向けの課税強化策については、あまり報道されていないように感じる。そこで今回は、2年後に実施される予定の「超富裕層向け課税制度」を取り上げてみたい。

そもそもの目的は「1億円の壁」是正

これまで富裕層向けの課税強化が議論されてきた背景には、いわゆる「1億円の壁」の問題がある。これは、「年間所得が1億円を超えると、1人あたりの税負担率が下がっていく」という逆転現象のことだ。まずはこの「1億円の壁」について簡単におさらいしておこう。

そもそも日本では、給与などの労働所得には、金額に応じて5~45%の累進税率が適用される。一方、株式譲渡所得や不動産譲渡所得(長期譲渡)などの金融所得は、一律15%の税率となる。

労働所得と金融所得の両方を得ている場合、所得の低い層では労働所得の税率(5%~)よりも金融所得の税率(15%)の方が高いが、高額所得者層になると、労働所得の税率(最大45%)よりも、金融所得の税率(15%)の方が低くなる。

そして以前の記事で述べた通り、高所得者ほど金融所得の割合が高いことから、「1億円の壁」の問題が発生する。

以下の合計所得に対する税負担率を示すグラフを見ると、所得1億円を境に、税率が下がっていることが分かる。つまり、所得に占める金融所得の割合が多い場合、全体の所得は多いのに所得税率自体は低くなる、という逆転現象が起こるのだ。実際、所得合計額が100億円だと税負担率は17.1%まで低下し、所得合計額3000万円以下の税負担率を下回る。