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【東京 社会 最新ニュース】現代日本に巣食う「絶対貧困」から脱出はできるのか?

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ニュース概要

最低賃金の議論がなされる間にも、持つものと持たざるものの差はどんどんと広がり、社会の底辺になればなるほど抜け出せない絶対貧困に陥っています。社会の底辺で生きる価値すら見出せなくなった生活困窮者たちは、どのような苦悩を抱えているのでしょうか?生活困窮者に住居提供の支援をするNPO法人生活支援機構ALLの代表・坂本慎治さんに鈴木傾城さんが迫ります。

(今回は、NPO法人生活支援機構ALLの坂本慎治さんと、作家・アルファブロガーの鈴木傾城さんとの対談の一部をお届けします。全編をご覧になりたい方は、鈴木傾城さんが配信している初月無料メルマガ 鈴木傾城の「フルインベスト」メルマガ編 を2024年12月中にご購読ください。また、本記事は動画でもご視聴いただけます。)

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鈴木傾城が見たシングルマザーの困窮

鈴木傾城(以下:鈴木):みなさん、こんにちは。鈴木傾城と申します。

坂本慎治(以下:坂本):坂本慎治と申します。

鈴木:今日は「絶対貧困から脱出する道はあるのか」というテーマで坂本さんをゲストにお迎えしました。坂本さんは生活困窮者への支援を行うNPO法人「生活支援機構ALL」の代表理事を務め『大阪に来たらええやん! 西成のNPO法人代表が語る生活困窮者のリアル』という本も出されていたりと、そういう活動を大阪のあいりん地区で日々やっておられるという、本当に希有な方なので、その貴重なお話をいろいろ聞きたいと思います。

坂本:はい、もう全然何でも聞いていただければ。

鈴木:ちょっと坂本さんの話に入る前に、1つエピソードがあって。2020年のパンデミックの時に、私は別の取材で所沢に住んでいるシングルマザーの女性に話を聞きに行った時があったんです。彼女は当時コロナで仕事がなくなっていて、解雇されたわけじゃないんですけれども、一時休業でもう来なくていいと言われていたんですね。

その期間、給料は2割ぐらいしかくれなかったんですね。生活が苦しいのに給料2割で仕事がなくて、さらに子どもがいるという状況で、その時に私は取材に行ったんですけれども、もう子どもにおやつを買ってあげたり、ご飯を買ってあげたりすることもできなくて。それで子どもは泣くんですよ。「甘いものが食べたい」「お菓子を食べたい」って。しょうがないから、公園に行ってそこに咲いてる赤い花の蜜をおやつ代わりに舐めさせたんですけど、子どもはお腹が空いてるから、花を吸うだけじゃなくて食べちゃうと。それぐらい酷い状況だったらしいんですね。

だから「生活保護を受けた方がいいんじゃない?」という話をしたんだけれども、女性は「ギリギリになるまで我慢する」「それまで生活保護を受けたくない」と言うんですよ。私から見たら、もうすでにギリギリの状態で、これは危ないんじゃないかというところまで来ているんですけれども、彼女は「受けたくない」「どうしても自分でがんばりたい」ということで……そういう女性がいたんですよね。

坂本:うーん。

鈴木:もしも子どもが病気になって、お医者さんに行ってお金が必要になったら、すでに光熱費すら払えない状況で、そこでもうアウトになってしまうから、それだけが本当に心配……みたいな話をしていて、彼女の抱える不安と恐怖を想うと、その日の夜は眠れなかったんですよ。

そういう印象深い出来事があった後に、私は坂本さんのことを知って「こういう人がいるんだな」「あの女性の話を聞いたときに知っていれば、どうすればいいのかって聞けたのに……」ということで、ずっと注目をしていたんです。今日はこういう機会ということで、いろいろとお話を伺いたいと思うんですけれども、坂本さんはどれぐらい前から今のような活動をやっておられるんですか。

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坂本慎治が困窮者支援を立ち上げたきっかけ

坂本:生活支援機構ALLを立ち上げたのは11年前なんですが、それを立ち上げる前に、本当にNPOとしてやっていけるのかということで、3年間ほどは任意団体的な感じでずっと動いていました。で、「これは本当に必要なものだ」っていうのを自分の中でちゃんと確信してから、NPO法人を立ち上げたんです。

鈴木:そうなんですね。それで最初の立ち上げの時に……これは聞いた話なんですが、天王寺かどこかに住むところを無くした母子がいて、本当は断らざる得ないような案件だったのを、上手く支援に繋げることができたことがあって、それが今の活動のきっかけになったということなんですけれども、そういう方々って結構おられるんですかね。

坂本:当時はかなり多かったと思います。今では、僕らのような活動をよくわかっていただいている不動産会社さんも多いんですけど。平成29年ぐらいから「居住支援法人」という法人格が新しく出てき始めて、いま大阪が一番その数が多いんですが、それ以前だと一般の不動産屋の担当者さんから「こういう時どうしたらいいですか?」っていう連絡が頻繁にあって、その都度アドバイスをしていました。

鈴木:しかし、こういう生活に困窮しているような母子が、子どもを抱えたまま住む家を無くすのって、かなり大変なことなんですが、そういった人たちが最近はコロナの影響もあって、すごく増えているんですよね。そんな時に、大阪だったら坂本さんのような人がいらっしゃるからいいですけど、最初に話したような所沢だとか、他の地域に住んでいる場合、どうすればいいんだろうって。

貧困から抜け出せない関東からの相談

坂本:実際、関東からの相談もものすごく多いですよ。

鈴木:大阪の場合は結構特殊だと思うんです。あいりん地区のような生活困窮者にも寛容なエリアがあって、しかも支援してくれる人がいっぱいいると思うんですけれども、関東にはそういう所がないんですよね、なかなか。だからそういった際に、坂本さんのところに連絡が行くっていうことは、やはり大阪に行くしかないってことなんですかね。

坂本:僕はずっと関西なんですけど、関東だとこちらとは違って無料低額宿泊所、俗に“無低”と呼ばれる施設の数が多くて、行政もそういった相談が来た時には、そこに行くようにっていう風に促すことが多いんです。

ただ無料低額宿泊所に行く人たちは、当たり前のように身分証と通帳と印鑑を預けるわけですが、そこでは宿泊費以外にも食事代とかも引かれて、例えば月に十何万円もらえるはずの生活保護費が、実際には手元に1万5,000円ぐらいしか残らない。そうなると本人がいくら「就職がんばろう」「社会復帰がんばろう」と考えても、現実的にはやっぱり無理で、結局は無低にずっと囲い込まれてしまうというか、出られない。

だから、そういう風にがんじがらめにされてしまうんだったら、いっそ大阪に来たらいいと。僕らは無低とかドヤじゃなくて、一般の賃貸住宅で居住支援をやっていますので、例えば就職活動の時でも、履歴書に書く住所がちゃんとしている。……ちゃんとしているという言い方は語弊があるかもしれないですが、無低やドヤの住所じゃないということで、そういった面でも就職がしやすくなるのかなって思っています。

鈴木:なるほど。……でも、なんで大阪だけそれができるんですかね?

坂本:僕からすれば、なぜ他の地域は無低がそんなに多いんだろう?って感じです。

鈴木:やはり貧困ビジネスとか、そういうのと関係しているんですかね?

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