これだけ抑えれば間違えない!失敗しない生命保険選びの超シンプルな3つのコツ
公開日 2021年10月22日 更新日 2022年3月13日
日経ビジネス電子版に、生命保険の選び方に関して興味深い記事が掲載されていましたので、取り上げてみます。
詳しくは記事をご覧頂きたいのですが、要約すると以下のような内容です。
- 自分や家族にとって本当に必要な保険を選ぶ際、必要なのは『保険から給付される「金額の大きさ」で判断する』、それだけである。「自己資金で対応できない金額」であるかどうか、その一点で決めるべき。
- 保険はその仕組み上、保険で加入者に給付されるお金は、保険会社の経費や利益を差し引いたお金となる。したがって原則、加入者全体の収支はマイナスになる。どうしても保険に頼らざるを得ないケースに限り、狭く・短く利用するのが正解。
- 上記のようにどんな保障内容・給付なのか具体的な項目は一切見ないで「保障額だけ」を見て、「自己負担できる額」であればこの保険は不要だと考える。
記事を読んで、なかなか斬新な切り口だと思いましたが、保険選びの本質を付いています。
生命保険に限りませんが、世の中あらゆるものの価格には当然コストや利益が含まれています。ですが金融商品ならではの特徴として、保険は「お金(保険料)でお金(各種給付金など)を用意する仕組み」なので、保険を提供する側の経費や利益が多くなると、顧客に還元されるお金はその分減ってしまうという訳ですね。
数多ある生命保険の中でも「個人向けの掛け捨てタイプだけ」を考えれば上記の記事どおりだと思いますが、積立タイプや保険ならではの活用法なども考慮すれば、失敗しない保険選びのコツは以下の3点に集約されると考えます。
(1)突発的に用意できない保険金額、給付金額であること
これは上記の記事と同様です。個人保険であれば主に、世帯主が死亡した時の遺族の生活費などですが、昨今は
- がんの化学治療(抗がん剤、ホルモン剤、放射線など)
- ケガ、コロナ感染症の後遺症、精神疾患など働けない場合の生活費
- 家族、自分の介護にかかる費用
なども、場合によっては数百万円以上の自己負担になることがあります。
当社にも最近、乳がんのホルモン剤治療を丸3年間受けられた方からのご請求がありました。その方は月額20万円の給付金が払われる保険にご加入されていたため、20万円×36か月=720万円の給付金受け取り(非課税)になりました。
一般的に、ご自身または家族がこのような事例に該当する可能性はおそらくかなり低いと思いますが、もし該当した時に自己負担できないような、経済的にリスクが非常に大きいと考えられる事柄に対して保険加入を検討すべきだと思います。
法人保険であれば、金融機関からの借入金の相殺や当面の運転資金の確保、死亡退職金などから、最低幾らの保障額が必要か、割り出す必要があります。
(2)解約返戻金が100%近い、またはそれ以上に増えていくこと
積立型の保険であれば、判断基準は費用対効果で、解約した時にリターンが100%近く戻るか、またはそれ以上になるかどうかです。・・ごく僅かではありますが、150%、200%といった解約返戻金(率)が期待できるプランも世の中にはあります。
この水準を満たす保険で解約時に支払い額を上回るリターンがあるとすれば、その間の保障は実質無償だったことになりますし、保険化によって強制的に積み立てられたと考えることもできます。
このタイプのものだと法人契約であれば、支払保険料の一部または全額を損金算入できる商品選択も考えられますが、8割程度しか戻らない、5割程度しか戻らないといった商品も多々あります。将来のリターンが良くない商品は、いくら単年の経理処理で損金算入できたとしても、慎重に考えたほうがよいと思います。
(3)保険化そのものに意味がある掛け方であること
分かりやすいのが、相続対策の保険です。
相続税の節税の王道ともいえるスキームだと、「生前贈与と生命保険を組み合わせる手法」があります。
具体的には、
①子が自分を契約者・受取人、親を被保険者とする生命保険に加入する
②贈与税が非課税となる110万円の範囲内で、親が子に現金を毎年贈与する
③贈与を受けた子が、②の現金を①の生命保険の保険料として払い込む
というものです。
贈与税の非課税枠110万の範囲内の生前贈与ですから、いっさい贈与税が掛からず被相続人の相続財産を減らせます。
それに上記のスキームであれば、保険料の負担者は子になるので、相続発生時に子が受け取る保険金は、所得税が優遇される一時所得で課税されます。
相続の対象外となり、かつ一時所得は1/2課税ですので、ごく僅かな納税額となる可能性が高いです。上記のスキームを取り入れれば、預貯金の一部を保険の形に変えることが、有効な節税策になります。
このように、保険化することで資産移転ができる、節税に繋がるなどの効果が得られるのであれば、積極的に取り入れるべきです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。失敗しない保険選びのコツは、まず以下の3点の何れかを満たすかがポイントです。
- 突発的に用意できない保険金額、給付金額であること
- 解約返戻金が100%近い、またはそれ以上に増えていくこと
- 保険化に意味がある掛け方であること
とはいえ、上記は最小限のコツにすぎません。実際には「今加入しているものの中でどれが必要でどれが不要か判断できない」「友人・知り合い、仕事上の付き合いから保険を提案されたけど、果たして自分に合うものなのか分からない」といったことがあると思います。
そんな際には、
- 費用対効果で得するか?
- 会社や自分の将来像や抱えているリスクに適合した保険か?
- その保険に加入したときの付加価値は満足できるものか?
などの点から、客観的かつ多面的に考えられるとベターです。
判断できない場合は、出来るだけ利害に直接関係しない方にセカンドオピニオンを求めたほうがいいでしょう。一度加入してしまうと長期にわたる保険ですし、くれぐれも無駄な選択にならないようにしたいものですね!
ご参考になれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。
【経歴】
1979年生まれ 京都市出身。
同志社大学経済学部卒業後、日本ユニシス株式会社(現BIPROGY 株式会社)入社。一貫して金融機関向けITシステム開発業務に携わる。
金融システム開発の現場で、2007年~2009年頃のリーマンショックによる経済の大混乱、強烈な景気後退、資産の激減などを目の当たりにする。
その経験から、「これからの日本人の合理的な資産形成・防衛に、正しい金融リテラシーが絶対に必要」という強い思いを持ち、2011年4月 株式会社トータス・ウィンズに入社。
中小企業に特化したリスクマネジメント対策のコンサルタントとして、500社以上の中小企業、1,000人以上の保険相談業務に携わる。2015年、代表取締役就任。
法人保険活用WEBサイト『点滴石を穿つ』を運営する一方で、法人向け保険代理店として、東京都中央区を中心にコンサルティング活動を行なう。
【趣味】
美術館巡り、千葉ロッテマリーンズの応援
【自己紹介】
中小企業向けの金融商品が数多ある中で、わたしは一貫して『100%顧客優位な商品選び』をポリシーに中小企業経営者向けの保険活用プランニングを行なってきました。
これまでのキャリアでの最大の学びは、『お金やお金の流れに関する知識や判断力=「金融リテラシー」は、私たちが社会の中で経済的に自立し、生き抜くために必要不可欠』ということです。
そして金融・保険に携わるプロとして、何よりお客様に対する誠実さ・真心・信頼関係より大切なものはないと考えています。
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