「最強の相続対策」は、税務調査で指摘されそうな問題点を徹底的に洗い出し、事前処理しておくこと
公開日 2022年5月26日 更新日 2022年5月26日
週刊ダイヤモンドの2022年4月30日・5月7日合併号では、「老後の悩み全部解決!相続・生前贈与・住まい」という、合併特大号にふさわしい大特集が組まれていました。
2022年これからの相続対策を考えるうえで、全関係者は必読ともいえるほどの大充実の特集でしたが、中でも非常に参考になったのが相続税専門の税理士である橘慶太氏による「ぶっちゃけ!相続完全ガイド」と銘打たれた特集です。
上記の記事中では、相続の超基礎知識から税務調査の裏側まで、実務を知り尽くしている橘税理士ならではの解説がもりだくさんでした。
以下、個人的な目線で特に発見のあったトピックを抜粋してご紹介します。
・「遺産は法定相続分どおりに分けなければならない」というのは、相続人にとてもよくある思い込み。多くの人が誤解しているが、目安に過ぎず強制力はない。遺産分割協議で同意すればどのような分け方をしても自由。
・遺産分割で揉めたとき、「誰よりも親の介護で苦労してきたのは私だから、遺産を多く相続したい」という「寄与分」の主張は、実務上ほとんど認められない。
・相続争いの典型のひとつが「生前中に、故人の預金を相続人が横領していたことが発覚するケース」。
・×「生前贈与と相続は関係ない」 〇「法律上、生前贈与で渡した財産は、遺産の前渡し扱いになる」
・遺留分を意図的に減らす行為は、公序良俗違反として全て無効にされる可能性がある。
・認知症を発症したら、相続対策は出来なくなる。遺言書を書く、生前贈与をするなどはすべて無効になり、法的効力を持たない。
・税務調査は世の中の人が考えている以上に厳しく、絶対に甘く見てはいけない。税務調査に選ばれた8割超の家庭に、追加の税金が発生している。1件当たりの追徴課税額の平均はなんと943万円!
・タンス預金は隠していても、その存在は高確率でバレる。
・税務調査で最も問題になるのは「名義預金」。
上記のダイヤモンド誌中の記事が非常に面白かったので、橘慶太氏の書籍『ぶっちゃけ相続』も読んでみましたが、こちら↓もお勧めです。
ひとことで相続対策と言っても実に幅広く、実務上、現実的に何をどう考えなければいけないか?がよく分かります。
書籍の中で、特になるほど!と唸ったのは
調査官は銀行や証券会社から過去10年分の取引履歴を取り寄せて、多額の現金引き出しや、家族間の資金の移動がないかを、徹底的に調べます。ならば、調査官と同じ目線で過去の取引履歴をチェックし、問題点があれば、事前に処理をしてしまえばいいのです。
という指摘ですね。これは、以下のオンライン記事でも取り上げられています。
①亡くなった方の過去10年分の預金通帳の入出金を事前に確認し、問題点を精査する
②書面添付制度(「税理士が税務署の代わりに、納税者のことを調査しました」という書面を作成し、それを申告書に添付して申告する制度)を使って、税務署に①の内容を事前に伝える
過去10年分の預金精査と書面添付制度。この2つをしっかりと行っている相続税申告書であれば、税務調査対策は盤石!とのこと。相続専門税理士の指摘だからこその説得力です。
たしかに10年にも渡る預金の入出金を見れば、被相続人がどのような資産にお金を流していたかが丸裸になりますね。
そこを事前に税理士と一緒に対策してしまえば、税務署としては追徴課税の指摘をしようがない・・という訳です。
超シンプルですが、思わず膝を打つ思いでした。気になった方は書籍にて。相続対策を検討中・勉強中の全ての方にお勧めです。
当記事がご参考になれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。
【経歴】
1979年生まれ 京都市出身。
同志社大学経済学部卒業後、日本ユニシス株式会社(現BIPROGY 株式会社)入社。一貫して金融機関向けITシステム開発業務に携わる。
金融システム開発の現場で、2007年~2009年頃のリーマンショックによる経済の大混乱、強烈な景気後退、資産の激減などを目の当たりにする。
その経験から、「これからの日本人の合理的な資産形成・防衛に、正しい金融リテラシーが絶対に必要」という強い思いを持ち、2011年4月 株式会社トータス・ウィンズに入社。
中小企業に特化したリスクマネジメント対策のコンサルタントとして、500社以上の中小企業、1,000人以上の保険相談業務に携わる。2015年、代表取締役就任。
法人保険活用WEBサイト『点滴石を穿つ』を運営する一方で、法人向け保険代理店として、東京都中央区を中心にコンサルティング活動を行なう。
【趣味】
美術館巡り、千葉ロッテマリーンズの応援
【自己紹介】
中小企業向けの金融商品が数多ある中で、わたしは一貫して『100%顧客優位な商品選び』をポリシーに中小企業経営者向けの保険活用プランニングを行なってきました。
これまでのキャリアでの最大の学びは、『お金やお金の流れに関する知識や判断力=「金融リテラシー」は、私たちが社会の中で経済的に自立し、生き抜くために必要不可欠』ということです。
そして金融・保険に携わるプロとして、何よりお客様に対する誠実さ・真心・信頼関係より大切なものはないと考えています。
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