【お勧め書籍】ゼロコロナという病
公開日 2021年9月2日 更新日 2022年3月13日
連日報道されるコロナ感染者数と病床不足に医療ひっ迫のニュース。しかし、病院数が限られる地方ならまだしも人口1,400万人の東京で医療ひっ迫って違和感を感じませんか?日本はG7で人口あたりの病床数が最も多い国のはずです。
東京都のコロナウイルス感染症対策サイトを見ますと、2021年8月31日現在の入院患者数は4,303人となっていて、6月末から3倍以上になっているようです。
参考:https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/cards/number-of-hospitalized/
情報番組などでは有名人のコロナ感染や医療崩壊が始まっている等のセンセーショナルな報道をみますが、新型コロナ感染症がまったく未知のウイルスだった2020年初頭ならともかく、1年以上も一向に変わらないような報道には違和感を感じざるを得ません。
ゼロコロナという病
「コロナ、ガンガン煽りましょう」という煽情的とも思える帯にひかれて、書店にて購入してみました。
これは2020年春ごろ、テレビの情報番組「モーニングショー」に出演した木村盛世氏が、番組関係者に実際に言われたセリフだというから衝撃的です。
本書ではコロナ感染症そのものよりも、コロナ禍が社会的にどう形成されて今に至ったのかが独自の視点で語られています。
コロナ関連本は数あれど、感染症学の専門家(木村盛世氏)と社会工学の専門家(藤井聡氏)による対話本という切り口は唯一無二だと思います。
何よりも、「これまでの「宣言」でやってきた事(自粛や時短の要請)が感染抑止に科学的に効果があったかどうか、全く検証されていないことが大問題」という主張は非常に説得力があります。
本書で提起されている最大の問題意識は、メディアでほとんど論じられることのない、すなわちコロナ禍が一向に沈静化しない原因は「ゼロコロナという病」が日本中を蔓延しているからだというものです。
欧米に比べて日本の感染状況は「さざ波」と言えば、直ちに総バッシングを受けてしまうような世間の風潮こそが「ゼロコロナという病」だというのです。
なぜそのような風潮が形成されたのか?本書ではその根本原因は、死を受け入れられなくなった日本人の死生観に基づくものだと指摘されています。
なぜ新型コロナウイルス感染症の蔓延が収束しないのか?医学的な観点に加え、社会学的な観点からコロナ禍を理解されたい方にはとてもオススメです。
概要
・いま、日本人は「新型コロナ感染症に対するゼロリスクを目指す精神」を共有するようになってしまっている。
→深刻な問題。感染以外のリスクが蔑ろにされている
→人々の視野が狭窄になってしまう(ある種の精神学的な病)
→「自粛」だけが過剰な注目を集め、「病床の拡充」「水際対策」「高齢者保護」等の対策がおざなりにされ、かえって感染拡大するという不条理な結果を招いた
・「ゼロコロナという病」によって、感染症被害だけでなく社会的・経済的被害が爆発的に拡大した
・「バズらせ系の専門家(感染症専門医やコメンテーター、ジャーナリスト)」が大勢いる。確信犯的に恐怖をあおったテレビの情報番組 テレ朝「モーニングショー」は特に罪が重い
・精度の低いPCR検査は意味がないどころか有害である。医者の金儲けと化している
・「自分の主張こそが真実である」という認知形成を「認知的不協和」という
→メディアは必要以上にコロナに警鐘を鳴らすことで視聴率が取れる。だから、この行動が正当化される。
→「健康な人は気を付ければ大丈夫」が言えなくなる。自粛ムードがますます高まる悪循環が形成される。
・コロナ問題で露呈したのは、パンデミックの問題以上に「インフォデミック(インフォメーション+エピデミック 正しい情報とニセ情報が大量に出回り見分けがつかなくなること)」の問題であること
・今回のコロナ禍では、メディアが第一の権力になった。そしてバズらせ系の専門家はバッシングリスクなしに崇拝される・知名度を上げられる・金儲けできる、、など、職業倫理をかなぐり捨てれば圧倒的に得るものが大きい
・日本には社会政策としての感染症対策、経済政策を含めた公衆衛生という観点が皆無である
・日本の新型コロナ対策がいかに馬鹿げているか、4つの論点
(1)自粛要請が必要な合理的な根拠がない
→とりあえず厳しめに出しておけばいいだろう、という生ぬるいメンタリティで出された過剰宣言
(2)コロナ病床が全然増えていない
→厚労省、都道府県、日本医師会の怠慢。メディアも世論も突っ込みが甘すぎる
(3)緊急事態宣言も自粛も時短も、感染抑制にほとんど効果がないという統計的エビデンスがある
→いずれも感染収束との相関はほぼゼロである
(4)自粛・時短で経済が冷えまくりの事実
→2020年のGDPは前年比4.6%マイナス。一世帯あたりの所得は60万円マイナス。失業者は50万人増えた
・日本人の精神の中に「自粛したい心理」「コロナについて論じることが不謹慎だという空気、同調圧力」が存在している
・諸外国は戦争を前提に国家が作られているので、有事の際には財政規律を凍結する仕組みがある。だから日本と違ってロックダウンと休業補償がセットになっている
・日本の対コロナ経済対策は100兆円以上と前安倍首相は胸を張ったが、直接的な経済対策に使われる真水部分は25兆円程度だった。一方のアメリカは、トランプ政権で300兆円、バイデン政権になって400兆円の予算を計上している。規模が違う。
→世界の国々の多くは、第二次世界大戦後のように財政規律を撤廃することで政府支出を徹底拡大し、戦後復興のような成長軌道に乗る可能性が出てきた。このままだと日本は取り残される。
・日本には約160万床の病床があるが、その中でコロナ病床は約3万床。全体の1.8%しかない。
→日本における病院のうち、公立・国立病院は2割しかなく、8割の民間病院はコロナ患者を受け入れても損失補填されないため、おいそれとコロナ患者を受け入れられない
→コロナ病床を5倍、10倍と増やすことができていれば、医療崩壊は起こらず緊急事態宣言も必要なかったはず。政府、厚労省の怠惰である
・新型コロナウイルスは、エボラ出血熱と同等の扱いとされていて厳密な感染対策が求められすぎている。過剰な要求に対し、医療供給能力や保健所がパンクした
・コロナが日本人にとって強毒性のウイルスではないということは今やまともな医療関係者なら分かっている。それでもコロナ病床が増えないのは、風評を恐れて「穢れ」の問題になってしまっているから。コロナ患者に対する偏見の問題と本質的に同じである。
だから1ベッドあたり1000万円ものお金を支給しても診たくないとなる。
・「コロナは危ないから、自粛をしなければならない」という考え方がポリティカル・コレクトネス化している
→ゼロコロナを目指す風潮そのもの。思考停止状態に陥っている
→人の流れを強制的に止めることは難しいし、それによって感染症をゼロにすることは極めて難しい
→がんへの効果よりも副作用のほうが大きいとわかっていながら抗がん剤を打つようなもの。そして誰も副作用を見積もらない。責任を取らない
・「死にたくない」「でも自分だけは他人にどれだけ迷惑掛けても得したい」という風潮
→その結果、立場の弱い若者が社会全体から自粛を強要されている
【経歴】
1979年生まれ 京都市出身。
同志社大学経済学部卒業後、日本ユニシス株式会社(現BIPROGY 株式会社)入社。一貫して金融機関向けITシステム開発業務に携わる。
金融システム開発の現場で、2007年~2009年頃のリーマンショックによる経済の大混乱、強烈な景気後退、資産の激減などを目の当たりにする。
その経験から、「これからの日本人の合理的な資産形成・防衛に、正しい金融リテラシーが絶対に必要」という強い思いを持ち、2011年4月 株式会社トータス・ウィンズに入社。
中小企業に特化したリスクマネジメント対策のコンサルタントとして、500社以上の中小企業、1,000人以上の保険相談業務に携わる。2015年、代表取締役就任。
法人保険活用WEBサイト『点滴石を穿つ』を運営する一方で、法人向け保険代理店として、東京都中央区を中心にコンサルティング活動を行なう。
【趣味】
美術館巡り、千葉ロッテマリーンズの応援
【自己紹介】
中小企業向けの金融商品が数多ある中で、わたしは一貫して『100%顧客優位な商品選び』をポリシーに中小企業経営者向けの保険活用プランニングを行なってきました。
これまでのキャリアでの最大の学びは、『お金やお金の流れに関する知識や判断力=「金融リテラシー」は、私たちが社会の中で経済的に自立し、生き抜くために必要不可欠』ということです。
そして金融・保険に携わるプロとして、何よりお客様に対する誠実さ・真心・信頼関係より大切なものはないと考えています。
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