ダイヤモンド誌が警鐘 「ニッポン沈没 日本を見捨てる富裕層」
公開日 2022年1月24日 更新日 2022年1月25日
円の実力低下、50年前並みに
先日、早朝のラジオを聞いていて驚いたのが「円の実力低下、50年前並みに 購買力弱まり輸入に逆風」という日経新聞のニュースです。
一体どういうことでしょうか。今回は「ニッポン沈没 日本を見捨てる富裕層」と題し、2020年末から続くドル高円安の背景と、富裕層を中心に海外への資産移転がますます増えている現状について取り上げてみます。
上記の記事を要約すると、以下のような内容です。
・国際決済銀行(BIS)が1月20日に発表した2021年12月の実質実効為替レート(10年=100)は、68.07と1972年並みの水準となった。
・この数値は高ければ高いほど海外製品を割安に購入できることを示しており、円の対外的な購買力が歴史的な水準まで下がっている。
・円の実力は50年ぶりの低水準に迫っており、消費者の負担感は増している。
円安ドル高がじりじり進んでいるというニュースは2021年から報じられていましたが、ここにきて日本の通貨「円の弱さが際立っている」という論調が増えてきている気がします。
わずか10年ちょっと前、2011年には1ドル=75円台の値を付けたときがはるか遠い昔に感じられます。
画像の引用元:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB18BEU0Y2A110C2000000/?unlock=1
マネーの「海外流出」加速
日本人は歴史的に、自国内への投資行動が強いことで知られています。
一般的に「株式投資に関する指数」といえばまず「日経平均株価」を思い浮かべる方は多いでしょうし、一昔前なら「海外市場への投資」と聞くと「なんか怪しい話?」「為替やリスクがよく分からないから手を出したくない」という印象をお持ちの方が多かったと思います。
しかしここ10年ほどで、「日本は数十年間、まったく経済成長していない」という現状認識が周知されたことから、海外投資や国外資産運用に対するアレルギーは大きく減退し、アメリカや東南アジアを中心にマネーの運用先をボーダレス化する動きが大きく広がりつつあるように感じます。
個人的には仕事柄ではありますが、最近は若い世代だけではなく、本来リスクのある運用とは距離をおくべき60~70代の資産家の方からも「日本市場にはこれから先明るい未来がない、海外資産に移すことを検討したい」という資産運用・防衛のご相談を頂く機会が非常に増えました。
2010年代の初め頃、『資産フライト 「増税日本」から脱出する方法』という書籍がベストセラーになってリタイア後の海外移住ブームも起きましたが、その後HSBCをはじめとする外資系金融機関の日本撤退や外貨送金の厳格化などから、「キャピタルフライトはもはやオワコン」と揶揄されたときもありました。
ところがここにきて、アベノミクス相場で日本株が急激に上昇に転じて30,000円台を伺うところまできた後も、高い成長性とグローバル市場へ分散投資できるという海外市場に対する期待は衰えず、国外資産に投資する流れはむしろ、加速しているように感じます。
海外への投資といえば、かつては為替とともに「情報の非対称性が最大のリスク」と考えられていました。
でも今やネットを使えばどこからでも世界中の最新情報に瞬時にアクセスすることが出来ますし、上場型のETFが発達した現在、ETFを使えば海外投資は国内投資とほぼ同じです。素人が個別株式投資に立ち入らなければ、情報の非対称性はかなり低下しているのではないでしょうか。
日本人の殆どは、住居地もビジネス拠点も国内である以上、その大多数は物理的には日本にとどまっています。WHOが提言するようにコロナ禍の沈静もまだまだ先のことでしょうから、これから先2010年代のように海外移住希望者が大幅に増えるようにも思えません。
それと対照的に、情報感度の高い富裕層や自国への帰属意識が薄い若年層を中心に、マネーを海外に逃避させる動きは加速こそすれ収まることは無いのではないかと思います。今のままでは今後も資産を海外の金融商品で増やそう・守ろうとする意識はますます高まる一方になるでしょう。
海外資産シフトは、もはや一時的な現象に留まらない
今回の記事タイトル「ニッポン沈没 日本を見捨てる富裕層」は、2022/1/15号ダイヤモンド誌の特集タイトルから拝借させて頂きました。
詳しくは誌面をご購読頂きたいのですが、経済紙の年始特集でこれほど悲観的な内容が組まれるのは前例がないのでは?・・と思えるほどシビアで悲観的な内容です。
海外資産への投資は、少し前までは「儲ける」ための資産運用の側面が強かったと思います。然し今は全く様相が異なり、一言でいえば「今後のサバイバル(資産防衛・税対策など)のために」検討したいという方が非常に増えたという印象です。
上記のダイヤモンド誌特集では「今こそ現実を直視しなければ、(日本人は)ニッポン沈没の道連れになりかねない」と警鐘を鳴らされていますが、実は今、すべての日本人が本当に心配すべきなのは「今後の日本の現状」に他ならないのではないかと思います。
世界が脱炭素やDXなど新たな経済社会への進化を一段と加速させる中、日本経済だけが過剰なコロナ自粛や緊縮財政を続けて・更に金融所得課税などの大増税で自ら国際競争力を弱めることばかりしているようでは、ポストコロナにおける海外と日本の成長率の差は一段と拡大するのは自明です。
もはや好むと好まざるにかかわらず、海外への資産移転を抜きに将来不安を払しょくすることは不可能なのかもしれません。ますますこれからの時流を冷静に見極める知見が必要な時代になりそうです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
【経歴】
1979年生まれ 京都市出身。
同志社大学経済学部卒業後、日本ユニシス株式会社(現BIPROGY 株式会社)入社。一貫して金融機関向けITシステム開発業務に携わる。
金融システム開発の現場で、2007年~2009年頃のリーマンショックによる経済の大混乱、強烈な景気後退、資産の激減などを目の当たりにする。
その経験から、「これからの日本人の合理的な資産形成・防衛に、正しい金融リテラシーが絶対に必要」という強い思いを持ち、2011年4月 株式会社トータス・ウィンズに入社。
中小企業に特化したリスクマネジメント対策のコンサルタントとして、500社以上の中小企業、1,000人以上の保険相談業務に携わる。2015年、代表取締役就任。
法人保険活用WEBサイト『点滴石を穿つ』を運営する一方で、法人向け保険代理店として、東京都中央区を中心にコンサルティング活動を行なう。
【趣味】
美術館巡り、千葉ロッテマリーンズの応援
【自己紹介】
中小企業向けの金融商品が数多ある中で、わたしは一貫して『100%顧客優位な商品選び』をポリシーに中小企業経営者向けの保険活用プランニングを行なってきました。
これまでのキャリアでの最大の学びは、『お金やお金の流れに関する知識や判断力=「金融リテラシー」は、私たちが社会の中で経済的に自立し、生き抜くために必要不可欠』ということです。
そして金融・保険に携わるプロとして、何よりお客様に対する誠実さ・真心・信頼関係より大切なものはないと考えています。
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