人は「老後のため」に貯めた資産を、いざ老後になったらほとんど使わない
公開日 2021年11月11日 更新日 2022年3月14日
2019年の「老後2000万円不足する問題」に端を発して、ここ数年で『老後の資金準備』は、一気に多くの関心を集めるホットトピックになっていると思います。
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天海祐希さん主演で、「老後の資金がありません!」・・なんてコメディ映画が公開されるくらいですから、ちょっと一昔前では考えられませんね。老後の資金問題はもはや、国民的にも一般認知された社会問題と言っていいのではないでしょうか。
弊社にも、若い方だと30代から50代ぐらいまでの世帯だと幅広く老後資金準備について、60代以降になると築かれた資産をどう次の世代に渡すか・・子や孫への贈与・相続対策など、さまざまなご相談をここ数年多くいただいております。
しかし、ご相談であまり聞かないのが、「実際に自分が老後生活に入ったとき、どのくらい使うか?どうやって使い切るか?」という点です。どうでしょう、案外考えていないことではないでしょうか。
人間だれでも死後の世界までお金を持っていくことはできませんから、一生懸命貯めたお金は、使い切るか、誰かに残すか、どこかに寄付するか、などのどれかになりますよね。
老後のセカンドライフをどのように過ごすかにも寄るでしょうが、「貯金をどうやって使い切るか」イメージはお持ちですか?
ダイヤモンド・オンラインの以下の記事によると、アメリカの調査結果ではありますが、高齢者の多くは殆ど資産に手を付けないまま亡くなるというデータがあるそうですよ。下記の参考記事から一部を抜粋してご紹介します。
【参考記事】
人は「老後のため」に貯めた資産を、いざ老後になったらほとんど使わない
アメリカ従業員給付研究所は、2018年、高齢のアメリカ人の資産と支出に関するデータをもとに、退職後の20年間で(または20年未満に死ぬまでに)どれだけ資産が減少したかを調査した。
人々は老後に資産を使い果たすのだろうか? それとも手をつけないままでいるのか? 主な調査結果の一部を以下に示す。
- 概して、人々は自分の資産を使い始める(取り崩す)のが非常に遅い
- 60代から90代までの退職者全体で、年齢を問わず世帯支出と世帯収入の中央値比はほぼ1:1だった。つまり、いつまでも収入と同程度の支出を続ける傾向にあり、退職しても資産には手をつけないという傾向を示している
- 資産額が多い人々(退職前に50万ドル以上)は、20年後または死亡するまでにその金額の11.8%しか使っておらず、88%以上を残して亡くなっている。つまり、65歳に引退したときに50万ドルだった資産は、86歳の時点でまだ44万ドル以上残っている
- 資産額が少ない人々(退職前に20万ドル未満)は、老後に資産を使う割合が高い(同額の支出でも、資産が多い人に比べて支出の割合が大きくなるためだろう)。だがこのグループでも、退職後の18年間で資産の4分の1しか減っていない
- 全退職者の3分の1が、なんと退職後に資産を増やしている。資産を取り崩すのではなく、反対に富を増やし続けていた
- 退職後も安定した収入源が保証されている年金受給者の場合、退職後の18年間で使った資産はわずか4%と、非年金受給者の34%に比べてはるかに少なかった
つまり、現役時代に「老後のために貯蓄する」と言っていた人も、いざ退職したらその金を十分に使っていない。「ゼロで死ぬ」どころか、そもそも生きているうちにできるだけ金を使おうとすらしていないように見える。
これは年金をもらっている人の場合、より明白になる。年金受給者は老後も安定した収入が保証されている。だから、年金をもらっていない人に比べて貯金を取り崩しやすいように思える。だが、調査結果の通り、年金受給者が老後に資産を減らす割合はとても低い。
まとめ
増やした資産を、いつまでにどう使うか。
今後の人生を豊かなものにするために、健康で時間があるうちに是非考えておきたいテーマですね。
なんとなく、日本人は大きなお金の使い方を考えるのは上手ではない気がします。個人的にも、今はまだ子どもの教育費や将来の年金不安などで沢山お金貯めなければ!という意識が強すぎて、貯まったお金を将来どう使おうか、というところまでうまく意識が働きません。
昨今、早期リタイアFIRE(「Financial Independence,Retire Early」)が流行していますが、これもどちらかといえば「経済的自立で不安を解消したい」という、どちらかといえば不安から逃げたい、解放されたい欲求が強いように思います。あまり前向きじゃないんですよね。お金は無くてもいいから夢を実現したい、とか仕事以外の好きなことに没頭したい、という人は少数派のような気がします。
そういう私自身、いま中学生と小学生の息子2人が成人したあとのライフプランをどうするか、今のうちから妻と長期ビジョンを一致させておかなければいけないな、なんて思いました。
ご参考になれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。
【経歴】
1979年生まれ 京都市出身。
同志社大学経済学部卒業後、日本ユニシス株式会社(現BIPROGY 株式会社)入社。一貫して金融機関向けITシステム開発業務に携わる。
金融システム開発の現場で、2007年~2009年頃のリーマンショックによる経済の大混乱、強烈な景気後退、資産の激減などを目の当たりにする。
その経験から、「これからの日本人の合理的な資産形成・防衛に、正しい金融リテラシーが絶対に必要」という強い思いを持ち、2011年4月 株式会社トータス・ウィンズに入社。
中小企業に特化したリスクマネジメント対策のコンサルタントとして、500社以上の中小企業、1,000人以上の保険相談業務に携わる。2015年、代表取締役就任。
法人保険活用WEBサイト『点滴石を穿つ』を運営する一方で、法人向け保険代理店として、東京都中央区を中心にコンサルティング活動を行なう。
【趣味】
美術館巡り、千葉ロッテマリーンズの応援
【自己紹介】
中小企業向けの金融商品が数多ある中で、わたしは一貫して『100%顧客優位な商品選び』をポリシーに中小企業経営者向けの保険活用プランニングを行なってきました。
これまでのキャリアでの最大の学びは、『お金やお金の流れに関する知識や判断力=「金融リテラシー」は、私たちが社会の中で経済的に自立し、生き抜くために必要不可欠』ということです。
そして金融・保険に携わるプロとして、何よりお客様に対する誠実さ・真心・信頼関係より大切なものはないと考えています。
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