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日本人はもう「欲しいものがない」? お金が消費に回らないワケ

その他、雑感
日本人はもう「欲しいものがない」? お金が消費に回らないワケ

公開日 2022年1月12日 更新日 2022年3月23日

円安とインフレはどこまで続く

2022年に入り、新聞各紙や経済紙などでかなり話題になっているのが、急速なドル高円安と、それに伴う輸入品の物価上昇に関するニュースです。

為替に関しては、2021年初頭の段階では1ドルあたり103円~104円の水準でしたが、2021年は年間を通じてドル高円安傾向となり、2022年1月12日(水)現在では115円~116円を伺う水準になっています。

日本企業は輸出競争力を大幅に低下させており、このまま円安ドル高傾向が続けば輸入物価上昇による購買力低下の影響が無視できません。

更に円安ドル高が進んだ場合、日本人の賃金水準が変化なし・もしくは下落基調の状態だと、輸入品の購買力が落ちる「悪い円安」となり、個人消費に悪影響をもたらしかねないと懸念されています。

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お金をもらっても「欲しいものがない」?

先日、個人的にクルマの見積もりを取って驚いたことがあります。

12年前に購入した愛車トヨタ ヴォクシーの新型が出るというので、ディーラー車検のついでに新車の見積書を作ってもらったのです。

2010年当時、新車を購入した金額は値引き含めてちょうど300万円。それが、2022年の新車見積もりでは全く同じ車種・ほぼ同水準の装備で、なんと500万円強でした。

いくら新車で値引きなし・さらに昨今は為替(ドル高円安)と世界的なインフレ(半導体・パーツ・人件費・輸送費等の高騰)など複合的な要因で値上がりしているとはいえ、僅か10年ちょっとで300万円→500万円で1.6倍の値上がりですから、驚きます。

日本国内に居住して普通に生活している分には、給与水準がなかなか上がらない・長く続くデフレ・個人消費の伸び悩み・・・など色々とニュースになっていても、生活に決定的な支障をきたすほどの不便を感じることは少ないと思います。

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しかし、世界的にはずっと緩やかなインフレは続いており、2021年のアメリカに至っては5.4%もの物価上昇率を記録したと報じられています。

翻って、20年以上デフレが続いている日本はこれからどうなるのか。

日本の場合、GDPにおいて個人消費の割合が55%前後を占めますから、個人消費動向が今後の日本経済に大きな影響を与えるはずです。

そんな個人消費の傾向に関して、東洋経済オンラインの記事では次のように分析されていました。

「もう買いたいモノがない」日本人の消費のリアル

詳しくは上記の記事をご覧頂くとして、要点は以下のとおりです。

  • 日本には一定レベルの豊かさが行き渡ってしまったので、かつての「所得倍増計画」時代の3C(カラーテレビ、クーラー、カー)のように、「これがあれば、より豊かな生活」と感じさせるような商品は今や存在しない。
  • 欲しいものがなく、さらに収入も増えないとなれば、消費よりも貯蓄、節約に向かうのは道理だ。
  • 「ちょっとした贅沢」の選択肢も今の日本には豊富にある。例えばイタリアンファミレスのサイゼリヤだと1,000円もあれば、本格的なパスタやワインが楽しめる。
  • デフレの時代が20~30年も続き、「何でも安く手に入る」ことに日本人は慣れ切ってしまった。貧しくなったせいで、もはや欲しいモノがない国になったとすると実に皮肉である。

「買いたいものがない」は本当か?

確かに記事で指摘されているように、日本ほどロープライスで高品質な消費財やサービスを提供している国はないと思います。

しかし、「低価格のモノが溢れていて生活に困らない」、だから「買いたいものがない」と文脈を繋げているのには少し違和感がありました。

正確には、「お金があれば買いたいものは色々あるけど、どう背伸びしても購買力が無くて買えないから初めから諦めているだけ」なのではないか?と思うのです。

続けて同記事から一部抜粋します。

共通ポイント「Ponta」リサーチ会員に、年末年始に購入・消費したい商品・サービスを聞いた 「Ponta消費意識調査」によると、1位は「食品(ふだん食べるもの)」、2位は「食品(お取り寄せなど、特別なもの)」、そして3位が「外食」だった。コロナ禍という特殊性はあるものの、生活雑貨も衣服もましてや自動車もトップ10には出てこない。別に飲食ジャンルだけで聞いたわけではなく、全10分野から3つまでを選んでもらった結果だというから、本当に所有したいモノが思い当たらないのだろう。

今はサブスクリプションサービスなど利用するための消費行動も多くありますから、必ずしも消費=購買・所有に繋がるとは限りません。

そのうえで個人消費が伸び悩む理由を探れば、以下の3点に集約されるのではないでしょうか。

  • 単に貧しいから必要以上にモノやサービスが買えないだけ
  • 貯蓄に回すのは将来が不安だから
  • 将来の収入が約束されるか、いま使うことが経済的な合理性に叶うと確信できれば、人は消費にお金を回す

買いたいものがないのではなくて、今の日本では切り詰めればいくらでもお金をかけない生活が出来るというのが本当であり、諸外国に比べて「安物」の質が高いことで、お金が無くてもそれなりの暮らしが出来てしまうということが消費が増えない理由のような気がします。

そんな生活スタイルが定着してしまったのは、今の日本では消費意欲の高い・若い世代が全然お金をもっていないことも大きな一因でしょう。

平均年齢と賃金

出典:https://www.jili.or.jp/lifeplan/houseeconomy/1093.html

厚生労働省の資料を見てみると、一例で世代的に適齢期・子育て期といえる30歳~34歳男性の毎月の平均賃金は幾らかというと、正社員で29.65万円、非正規社員で22.15万円です。

上記の金額は「所得税・社会保険料等を控除する前の額」ですから、毎月の実際の手取り額は4~5万円下がって正社員で25万円前後、非正規社員だと18~9万円ぐらいになるはずです。

この賃金水準でシングルインカムだとすれば、住宅、クルマなど高額な買い物はもとより、結婚や子どもをつくる、老後資金の捻出といったライフイベントに必要な費用にも不安を覚えるのではないかと推測します。

必然的に、日常的な消費にも多額の支出については二の足を踏んでしまう人が多いのではないでしょうか。

まとめ

今回は、「日本人はもう「欲しいものがない」? お金が消費に回らないワケ」と題して、日本人の個人消費傾向についてざっくり読み解いてみました。

わたしは40代ですが、親しい友人・知人を見渡すと、ある程度のゆとりがある人々はクルマや家電などの耐久消費財の購入や、ゴルフや旅行・サーフィンなど結構お金が掛かる趣味などに対しても、割と旺盛に消費行動を取っているように感じます。

その一方で、そこまで余裕がない方々は、例えば「子どもはひとりで我慢」「子どもの進学は高校までは公立」「クルマは20万キロまでは乗る」など、意図的に大きな支出を避ける行動様式を取っている(取らざるを得ない)と思います。

結局のところ、経済を良くする・個人消費を増やすのに容易な特効薬などなく、一刻も早くデフレを脱却してひとびとの賃金が将来安定的に上がっていくこと・資産が増えて家計が楽になることこそが最大の打開策になるのではないでしょうか?

もし数年後、いま貰っている給料が倍になっていて、更にその先も昇給する見込みがあり、そして老後も充分な年金がもらえる見通しがたったら?人々は余裕資金を大いに消費に回すでしょう。

最近マスコミでもめっきり報じられなくなりましたが、岸田首相は「令和版所得倍増計画」をぜひ実現してデフレ脱却を図って欲しいものです。

ご参考になれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。