18歳以下の子どもに10万円相当給付 所得制限960万円付きで、自公党首が合意だそうです
公開日 2021年11月10日 更新日 2021年11月11日
岸田新政権による経済対策の柱となる、18歳以下の子どもへの10万円相当の給付金について。
一律で現金給付するとされていた政策案が、以下のように変容して決着したと報道されています。
図の引用元:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA101CV0Q1A111C2000000/
これについて、ダイヤモンドオンラインでは経済評論家の山崎 元氏が「18歳以下に10万円相当給付、所得制限もクーポンも頭が悪すぎる理由」と題して、辛辣な投稿を寄せています。
詳細は記事をご覧頂きたいですが、ポイントは以下のとおりです。
<「18歳以下に一律現金10万円」当初のバラマキ案の良い点>
- 「現金」の支給は使途を限定しないので、国民生活への政府の介入や特定業界へのメリット供与につながりにくい点が大変良い。
- お金持ちにも現金を給付するのはおかしいという議論については、高所得者にはあとから相応の税負担をしてもらうことで解決する。
- 所得などに条件をつけて給付すると、行政手続きが煩雑になり、時間とコストがかかって行政に不必要な権力が生じる。所得制限無しの一律給付である当初のバラマキ案が正しい。
<「18歳以下に一律現金10万円」当初のバラマキ案のダメな点>
- 「18歳以下の子供」という支給対象選定が公平でないこと。支給対象者の選定は公平性を欠く。
- 継続的な効果がない一時金であること。経済的困窮者は「一時のお金」では、安心することができない。「子供の未来」などと言うなら、継続的な支援を考えるべきだ。
衆院選で各党が主張していたコロナ対策ですが、随分と小さくまとまってしまった印象を受けます。自公が合意したという3つの給付金について、見ていきましょう。
『18歳以下に10万円相当』 5万円を2021年内、残りはクーポンで2022年春までに?
山崎 元氏は記事の中で、「18歳以下の子どもに限定されること」の公平性の問題について指摘されていますが、そもそも何のための給付なんだろう?と思います。
子どもがいても豊かな人はいるし(むしろ今の世の中、子どもがいる世帯のほうが所得水準は高いのでは?と思います)、子どもがいなくてもコロナ禍で仕事を失ったなどで困っている人は幾らでもいるでしょう。
「困っている人にこそ配るべき」という主張は一見正しいように思えますが、どこかで必ず線引きが生じます。となると、その線引きとなるボーダー付近ではわずかな差で貰える人・貰えない人が発生して、結局公平性は保てません。
また、わざわざ現金とクーポンの二回に分けて配るといいます。クーポン配布時期は、2022年春からだという。いったい配り終わるのはいつになるのでしょうね。クーポンにすることで、地域振興券やアベノマスクのときのような、特定層への利権がまた生まれてしまうのではと懸念してしまいます。
スピード感と公平性を考えるのであれば、全国民に均等に配るか、誰もが恩恵を受けられる消費税の減税か、の2択だと思うのですが・・・。
マイナンバーカード取得者に最大2万円のマイナポイント配布?
これも・・、意図がよく分かりませんね。
個人的には2020年9月からマイナポイントのキャンペーンが始まったタイミングで「将来的には保険証・運転免許証を兼ねるということは、遅かれ早かれ作ることになるんだし」と軽い気持ちでマイナンバーカードを作りました。が、今のところ「持ってて本当に良かった!」と感じたことは未だに一度もありません。
確かに最寄りのコンビニで住民票、印鑑登録証明書などの公的な証明書を取得できるのは便利ではあります。しかし、そんな機会は年に1~2回あるかどうかですし、めったに使わないのでパスワードを忘れてしまい、逆に不便になっていたりする有様です。
だいたい便利であれば勝手に普及が進むハズなのに、2016年の発行開始から5年以上も経つのにマイナンバーカードの交付率が4割にも満たない(注:2021/9現在で39.7%)のはなぜか。要は便利じゃないから、なくても事足りるからですよね。
もっと言えば私も含め、自分の銀行口座にマイナンバーが紐づけられて、国に個人資産が捕捉される点に、得体のしれない気持ち悪さや個人情報漏洩のリスクを感じる人が多いと思います。
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とはいえ、デメリットを上回る利便性向上があれば普及は進むと思いますけど、現状そうなっていないのはメリットが無いからに他ならないです。今より更にマイナポイントが付くようになれば・・・、そりゃ普及は進むでしょうが、やり方がセコイなあと思ってしまいます。
そもそも論ですが、マイナンバーカードを持つことによって、日常生活がもっと便利になるようにすべきですよね。
生活困窮者に10万円 住民税非課税世帯に現金給付?
思い返せば、2020年の新型コロナウイルス感染拡大における特別定額給付金。当初案は、「住民税非課税世帯のみ」と限定されていましたね。
結局、区分けすることは分断を生むと非難轟轟で、結果的に全国民一律10万円が支給されましたが、また「住民税非課税世帯」という区分けが出てきました。以下のリンクサイトに詳しく解説されていますが、
「住民税非課税世帯」に該当する世帯はどんな人達かと読んでみれば、一般的なサラリーマン、フルタイムで働くパート・アルバイトでは該当しないレベルだと分かります。具体的な金額としては、どんな世帯かによりますが独身だと年収100万円以下、会社員の夫・専業主婦の妻だと年収150万円以下などとなっています。
このレベルに該当する住民税非課税世帯の多くは、生活保護を受けているもしくは年金生活している高齢者でしょう。
確かにこのレベルの年収では裕福とはとても言い難い人が多いでしょうし、経済的な支援は必要なのかもしれません。しかしそれは、「貧困対策」なわけで社会福祉でカバーすべき話ではないでしょうか。新型コロナウイルスの影響が何か関係しているのでしょうか?
もともと生活保護、あるいは働いていない高齢者世帯であれば、コロナによる直接の経済的なダメージはほとんどないのではないかと思います。
だとすれば、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた支援策で生活救済すべき対象ではないのではと考えてしまいますが・・・。
と、ここまで書いてきてびっくりしたのですが、日経新聞の下記報道だと「コロナウイルス対策のための経済政策」って書かれていません。これでは果たして、誰を救うための、なんのための給付なんでしょうか?
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まとめ
今回は「コロナウイルス対策の経済政策」が大きく変節しつつあり、どうみても愚策かも・・・と感じたところを書いてきました。
岸田総理のこれまでの発言として「非常時の財源に国債を思い切って使う」「所得倍増」「しっかり財政出動」などと報じられてきたので個人的に期待していましたが、肝心の政策がこれですか?と思わず言いたくなりました。
国民は一刻も早い政策実行を期待しているのに、行政の煩雑な手続きで、ズルズルと時間が経ってしまっては意味がありません。
せっかく税金を使うなら、公平で大きな効果のある政策を速やかに実行してほしいところですが、今のままでは期待薄ですね。
今回のような、どう考えても支給対象者の選定根拠が薄い線引きは、国民の分断を生むだけだと思います。本当に今の案でやるなら、
- 18歳以下の子育て世帯/960万円以下に限定する理由
- ポイント配布でマイナンバーカードの普及がどの程度進み、国民にとって今後どんな利便性向上が見込めるのかといった見通し
- 住民税非課税世帯がコロナ禍で困っているという根拠
などをしっかり示してほしいものです。そういえば、前回の一律10万円支給後の効果って検証されたんですかね。
国民もこのような小手先だけの、耳障りが良いだけの政策に騙されないようにすることが必要でしょうね。
ご参考になれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。
【経歴】
1979年生まれ 京都市出身。
同志社大学経済学部卒業後、日本ユニシス株式会社(現BIPROGY 株式会社)入社。一貫して金融機関向けITシステム開発業務に携わる。
金融システム開発の現場で、2007年~2009年頃のリーマンショックによる経済の大混乱、強烈な景気後退、資産の激減などを目の当たりにする。
その経験から、「これからの日本人の合理的な資産形成・防衛に、正しい金融リテラシーが絶対に必要」という強い思いを持ち、2011年4月 株式会社トータス・ウィンズに入社。
中小企業に特化したリスクマネジメント対策のコンサルタントとして、500社以上の中小企業、1,000人以上の保険相談業務に携わる。2015年、代表取締役就任。
法人保険活用WEBサイト『点滴石を穿つ』を運営する一方で、法人向け保険代理店として、東京都中央区を中心にコンサルティング活動を行なう。
【趣味】
美術館巡り、千葉ロッテマリーンズの応援
【自己紹介】
中小企業向けの金融商品が数多ある中で、わたしは一貫して『100%顧客優位な商品選び』をポリシーに中小企業経営者向けの保険活用プランニングを行なってきました。
これまでのキャリアでの最大の学びは、『お金やお金の流れに関する知識や判断力=「金融リテラシー」は、私たちが社会の中で経済的に自立し、生き抜くために必要不可欠』ということです。
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