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2030年のEC市場はどうなる?楽天はEC流通10兆円目指す

経済、ビジネス
2030年のEC市場はどうなる?楽天はEC流通10兆円目指す

公開日 2021年9月7日 更新日 2022年3月13日

わたしはメインクレジットカードを楽天カードに据えてから約10年超になりますが、物販の楽天市場、楽天ブックスに加えて金融サービス(銀行、証券、保険)、エンタメ(トラベル、TV)なども含め、すっかり楽天経済圏にハマっています。

楽天カードを作ったきっかけはクレジットカード自体のポイント還元率の高さ(100円で1ポイント)目当てでした。

しかしふと気づいたら、物販購入だけではなく、高速道路のETCから水道・光熱費など公共料金の支払い、証券会社・保険会社の決済などまで、身の回りのカード決済は、今やほぼすべて楽天経由になっています。

楽天のクロスユースとは

楽天経済圏への囲い込みとして、いちユーザーとして非常に有効だと思うのが楽天のクロスユース戦略です。

楽天はSPU(スーパーポイントアッププログラム)というクロスユース(2つ以上の楽天のサービスを利用すること)促進の仕組みを持っています。これはひとつのIDに全てのサービスが紐づいてポイント獲得できる仕組みです。

楽天市場ECサイトで物を買う、楽天証券で投資信託を積み立てる、楽天モバイルでスマホを使って携帯料金を払う・・・これらすべてが同じ楽天カードで決済され、同一のIDにポイントが加算されていきます。

上記は楽天SPUの画面ですが、あらゆる楽天のサービスをクロスユースすることで、楽天市場のポイント還元率がどんどん増えていきます。最大15.5倍とありますが、そこまでいけば何を買っても実質15%オフになるので、どんなものでも基本的に楽天市場で買い物した方がお得になるのです。

Amazonと楽天の大きな違い

楽天は70以上もの独自サービスを提供しており、それだけではなく他社サービス連携(例えばSUICAポイントと楽天ペイの提携)など、オンライン・オフライン・リアル店舗の垣根を超えた巨大経済圏を築いてきたのです。

オンラインの物販だけを切り取ると、一見、競合のAmazonと同じように見えますが、こういった顧客囲い込みの仕組みは圧倒的に楽天がとても優れているところだと思います。

ごちゃごちゃっとした楽天市場のユーザーインターフェースは好き嫌いが分かれるところだとよく言われますが、個人的にはUIの機能性よりも「商品自体の良さ、口コミの高さで買うもの→Amazon」「物語性や付加価値の高さで買うもの→楽天」で使い分けています。

これは、Amazonがあくまでショッピング効率中心のUIになっているのに対し、楽天の場合はモールですから各店舗とのやり取りが発生する構造の違いが大きいです。売り手のスタンスとか商品制作にまつわるストーリーみたいなところは、Amazonには殆ど感じることはありませんが、楽天市場だとショップ独自のこだわりを感じたりしますよね。

平たく言えば、Amazonは確かに便利ですが良くも悪くも非常に効率的で、機械的です。だから合理性を求める買い物にはAmazonが適していると思います。それに対して楽天は、消費者からみて「ポイントが貯まるお得さ」や「リアル店舗にお金が落ちる感覚」を感じることができるのです。

物販とフィンテックの融合 エコシステム(楽天経済圏)の強み

さらに、楽天でとても参考になるのはフィンテックの取り組みです。楽天は2017年に楽天証券のポイント投資、2018年に楽天PointClubのポイント運用、2019年に楽天ポイントが貯まって使える保険商品の販売を始めました。これにより、ユーザーはモノの購入で獲得したポイントを使って、ごく小額から気軽に金融サービスを利用できるようになったのです。

こういった便利さに慣れたユーザーは、もう前時代的なアナログの物販・サービスに戻ることはないでしょうから、EC市場規模が物販・サービスを問わず今後も伸び続けるのは不可逆的な流れだと思います。

楽天の三木谷社長は、今後の見通しについて以下のように述べておられます(こちらのサイトからの引用です)。

楽天グループ(楽天)は9月2日、「楽天市場」の出店者向けオンラインイベント「楽天EXPO2021」を開催した。三木谷浩史社長は「今年、国内の年間EC流通総額は5兆円いける。エコシステム(楽天経済圏)を拡大し、2030年くらいまでに10兆円を目指したい」と話した。楽天経済圏拡大の目玉といえる「楽天モバイル」と「楽天市場」のシナジーについては、「楽天モバイルの契約者は、契約前と比べて年間流通総額が77%伸びている」(三木谷社長)と説明し、高いシナジー効果があることを強調した。

2030年のEC市場はどのようになっているか

果たして2030年の社会では、EC市場はどのように進化しているのでしょうか。

現役世代におけるデジタルネイティブ世代の割合は確実に高まっていることでしょうから、社会全体のデジタルスピードは今より更に速くなっている気がします。市場の構造変化についていけない、顧客への提供価値があいまいな企業は、容赦なく新陳代謝の波に飲まれてしまうかもしれません。

時代に即した価値を提供できるプレイヤーで居続ける努力が、企業側にはますます求められる世の中になっていきそうです。