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車の減価償却の仕組みとは?新車・中古車の耐用年数や計算方法なども解説!

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車の減価償却の仕組みとは?新車・中古車の耐用年数や計算方法なども解説!

公開日 2022年8月2日 更新日 2022年8月8日

仕事のために車を使っている法人や個人事業主は多いことでしょう。社用車は「減価償却によって経費計上」できますが、

・新車か中古車か

・購入かリースか

によって、経費計上の計算方法が異なることをご存知でしょうか?

また、節税目的であまり必要のない自動車を購入すると、経営悪化の原因となる可能性があるため注意が必要です。

今回は、車の減価償却の仕組み、減価償却する際の4つのポイント、車の減価償却の計算方法、減価償却する際の注意点をご紹介。さらに、車の購入が本当に節税対策になるのかについても解説します。

車は減価償却で経費にすることが可能!

営業車や役員車など、事業で使用する車は経費として計上できます。ただし経費計上は基本的に、購入年度に一括で行うわけではありません。

中小事業者の場合、取得価格30万円未満の資産に対して「少額減価償却資産の特例」を利用して、一括で経費計上することも可能ですが、多くの場合「減価償却」という考え方に基づき、数年にわたって経費計上することになります。

はじめに減価償却の仕組みと、車を減価償却するための要件を見ていきましょう。

減価償却とは

減価償却は、時間の経過とともに価値が下がるとみなされる「固定資産」に対して、価値の減少分を経費とする会計処理を指します。

固定資産とは「10万円を超える購入金額と、1年以上の耐用年数を持つ資産」を意味しますが、そのすべてが減価償却の対象となるわけではありません。

例えば、固定資産の中でも時間の経過で価値が減少しないとみなされる、土地、美術品、骨董品などは減価償却の対象とはなりません。これを「非償却資産」と呼びます。

一方、自動車をはじめ、建物、工場、パソコン、ソフトウェア、工具、備品などは、減価償却の対象となります。これを「償却資産」と呼びます。

車を減価償却するための要件

減価償却して経費計上が認められる車は「事業で使用する車」のみです。プライベート用途のみに使用する車は、減価償却による経費計上の対象とはならないためご注意ください。具体的に以下のようなケースで、経費計上が認められます。

  • 法人
  • 個人事業主
  • 副業などで車を使用する場合

なお、個人事業主の方や、副業をする方の場合「同じ車を事業とプライベートの両方で使っている」というケースもあるでしょう。

この場合は「家事按分」の考え方に基づいて、事業で使用した割合を計算した上で、事業使用分のみを経費計上することが可能です。

車を減価償却する際の4つのポイント

対象の車を、どれくらい減価償却できるかは、以下4つのポイントで変わってきます。

  • 車の耐用年数
  • 車の取得価額
  • 新車・中古車の違い
  • 購入・リースの違い

車の節税効果を知る上でも重要なポイントであるため、しっかり理解しておきましょう。

車の耐用年数

耐用年数とは、その固定資産が「利用可能である」と考えられる年数のことです。財務省によって「法定耐用年数」が明確に定めており、それが減価償却可能な年数となります。

そして、もちろん車にも法定耐用年数が定められています。車種や事業者の種類によって耐用年数が異なるため、減価償却の際にはご注意ください。

新車の耐用年数は、以下のとおりです。

【一般事業者のケース】

  • 普通自動車:6年
  • 「総排気量66リットル以下の軽自動車」「​​ダンプ式トラック」:4年
  • ダンプ式以外のトラック:5年

【運送業・貸自動車業・自動車教習所のケース】

  • 積載量2トン以下の貨物自動車や、総排気量2リットル以下の小型車:3年
  • 総排気量が3リットル以上の大型乗用車:5年
  • 「上記以外の小型車」「普通乗用車」:4年

車の取得価額

取得価額とは、固定資産の購入に必要であった費用を意味します。

車を購入する場合、本体代以外の費用がかかるケースも多いですが、その一部は「取得価額に必ず含めなければならない」と定められています。減価償却の対象となる費用です。

一方「取得価額に含めなくてよい費用」も存在するので、それぞれを以下でチェックしておきましょう。

【取得価額に必ず含めなければならない費用】

  • 自動車本体価格
  • 付属品の費用(カーナビ、オーディオ、ETC車載器など)
  • 納車費用

【取得価額に含めなくてもよい費用】

  • 自動車税
  • 自動車取得税
  • 自動車重量税
  • 自賠責保険料
  • 登録費用(業者の代行費用含む)
  • 車庫証明費用(業者の代行費用含む)
  • リサイクル料金(資金管理料金)

「取得価額に含めなくてもよい費用」は減価償却の対象とはなりませんが、租税公課や支払保険料として経費計上することが可能です。

リサイクル料金(資金管理料金)は、廃車や車の売却の際に経費計上できます。

新車・中古車の違い

新車と中古車の大きな違いは、耐用年数の長さです。中古車は新車と比較して耐用年数が短くなるため、早期に大きな金額での経費計上(減価償却)が可能となります。

なお、中古車を取得した場合の耐用年数の計算方法は、以下のとおりです。

【法定耐用年数を満了している場合】

【法定耐用年数の一部が残っている場合】

(※いずれも1年未満の端数は切り捨て、2年未満は「耐用年数を2年」とする)

購入・リースの違い

事業用に購入した新車・中古車は、いずれも固定資産となり減価償却の対象となります。一方、車をリースした場合は、事業者の固定資産にはならないため、減価償却の対象とはなりません。

その代わり、車のリースにかかった費用は全額、経費として計上することが可能です。

車を購入する場合、大きな初期費用(イニシャルコスト)がかかり、毎年の減価償却や車を売却した際の損益計上など、会計上の手間もかかります。さらに税金、保険、車検、整備、車の入れ替えなども考慮しなければなりません。

しかし車をリースする場合、大きな初期費用がかからず、会計上の手間も少ないです。税金や保険ほか、車検や整備もセットになったプランもあることから、車両管理担当者の負担軽減も期待できます。

なお「リース期間が1年超、合計リース料300万円超」の車については、リース資産定額法に該当し、減価償却することが可能です。

車の減価償却の計算方法

車の減価償却の計算方法には、以下の2つがあります。

  • 定額法
  • 定率法

法人には基本的に定率法が適用されますが、税務署に申請することで定額法を選択することも可能です。

それぞれに特徴やメリット・デメリットがあるため、それらを理解した上で減価償却の方法を選択しましょう。

定額法

定額法は、減価償却の費用が毎年同じ金額である計算方法です。

毎年の減価償却費は以下の計算式で求めることができます。

定額法償却率は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令に記載されています。

例えば「購入金額200万円、法定耐用年数6年」の新車の場合、購入費用200万円×償却率0.167(※1)で、334,000円を毎年、減価償却費として計上すればよいことがわかります。

定額法は、計算がシンプルで減価償却費がわかりやすい点がメリットです。

一方、車購入の初期は、定率法に比べて減価償却費が少なく、節税効果が低くなる点はデメリットです。

(※1:2007年4月1日以降に取得した減価償却資産の定額法の償却率)

定率法

定率法は、減価償却の割合が毎年同じである計算方法です。

定率法による減価償却費用は次の計算式で求めることができます。

例えば「購入金額200万円、法定耐用年数6年」の新車の場合、購入費用200万円×償却率0.333(※2)で、初年度は666,000円を減価償却費として計上すれば良いことが分かります。

また、2年目は、未償却残高(前年の残額)×償却率0.333で計算できます。2年目の未償却残高は、1,334,000円(200万円-666,000円)です。つまり、未償却残高1,334,000円×償却率0.333で、2年目は444,222円を減価償却費として計上すればよいことがわかります。

なお、定率法償却率で算出した金額が「償却保証額(購入価格×保証率)」を下回った年以降は「未償却残高×改定償却率」で、減価償却費を計算します。

定率法は、初年度の減価償却費が高く、節税効果も高い点がメリットです。

一方、減価償却費が毎年変化するなど、定額法に比べて帳簿上の扱いが複雑になる他、年を追うごとに節税効果が低くなる点はデメリットです。

(※2:2012年4月1日以降に取得した減価償却資産の定率法の償却率)

車を減価償却する際の注意点

車の減価償却に際しては、いくつかのポイントを踏まえないと経費計上できる割合が少なくなる可能性があります。また、車の売却に際しては、税金の支払いが発生する可能性もあるため、事前に理解しておきましょう。具体的に、車を減価償却する際は、以下3つのポイントに留意してください。

  • 車の取得は「期首」がお勧め
  • 手放した車の価格が50万円を超えると課税対象となる
  • 車を私的使用すると損金計上できる割合が下がる

車の取得は「期首」がお勧め

車の減価償却は、月割計算によって経費計上します。

つまり、決算月の翌月に当たる「期首」に車を購入して、使用を始めれば、1年分(12ヶ月分)を減価償却費として処理できます。

一方、例えば10月に自動車を購入して使用し始め、12月末の決算を迎えた場合、減価償却の対象が3ヶ月のみとなってしまうのです。 つまり取得金額の全額を経費にすることができません。

従って、減価償却の効果を狙って車を取得する場合は、「期首」がお勧めです。決算月の翌月までに行なうようにしましょう。

手放した車の価格が50万円を超えると課税対象となる

個人事業主が業務で使用する車を手放した場合に生じた損益は「譲渡所得」と呼ばれます。譲渡所得には、50万円までの特別控除が認められていますが、50万円を超えた場合には全額が課税対象となるのです。

また、車の所有期間が5年超の場合は「総合長期」、5年未満の場合は「総合短期」と呼ばれ、譲渡所得の計算が以下のように変化します。

【総合長期の場合の譲渡所得の計算】

譲渡所得=(売却価格-帳簿価格)-特別控除50万円

【総合短期の場合の譲渡所得の計算】

譲渡所得={(売却価格-帳簿価格)-特別控除50万円 }×1/2

なお、法人が事業で使用する車を手放した場合の損益(固定資産売却損/益)は、その他の利益と合算され、法人所得に反映されます。

車を私的使用すると損金計上できる割合が下がる

個人事業主の方や副業をする方の場合、車を経費として計上できることは、すでにご紹介しました。

ただし、同じ車を事業のみならず私的使用もしている場合は、事業で使用した割合を計算して、事業使用分のみ経費計上することが可能です。これを「家事按分」と言います。

家事按分の考え方は、法人名義の車にも当てはまります。法人名義の車は、明細や領収書に基づく適切な保存・記録に基づいて、家事按分することで、私的使用も可能です。

ただし、私的使用の割合が大きいほど、損金に計上できる割合が下がります。つまり、経費計上できる減価償却費が減少することになります。

なお、法人の場合、 個人名義で現金購入した車については、事業にしか使用しない場合でも、原則的に経費計上できません。

車の購入は節税対策になるのか?

事業用に車を購入した場合、取得価格と耐用年数に応じた減価償却が適用されます。

購入費用と保険料に加えて諸費用も経費となるため、一定の節税効果は期待できるでしょう。

しかしその一方、事業を行なう上で稼働率が低い車を購入すると、税金、メンテナンス、駐車場などのコスト負担で、会社の資金繰りを悪化させる原因となる恐れがあります。

事業用の車は、節税を主な目的とせず「事業における稼働率が高い」「購入によって事業にメリットをもたらす」などと判断される場合のみ、購入を検討することが得策です。

中小企業の適切な財務相談ならトータス・ウィンズへ

車の購入、売却には、思わぬ税金が発生する可能性もあります。

また、車を購入して減価償却する場合、無理のない範囲で最大限の節税効果を得るためには、購入前にしっかりとシミュレーションして、計画を立てることが望ましいです。

私たちトータス・ウィンズは、中小企業の経営者向けに無料の財務相談サービスをご提供しています。

財務対策の観点からトータルに中小企業の円滑な経営をサポートしますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

事業で使用する車は、 減価償却に基づいて一定期間、経費計上することができます。車の減価償却には2つの計算方法があり、いずれか一方を選択可能ですが、経費計上額はそれぞれ異なります。

また、車の購入には一定の節税効果が期待できる反面、後先考えず適切でないタイミングで購入した場合、会社の財務状況を悪化させる恐れがありますのでご注意ください。

当記事がご参考になれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。