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経営セーフティ共済の解約方法やリスク、再加入について解説

経済、ビジネス
経営セーフティ共済の解約方法やリスク、再加入について解説

公開日 2022年10月14日 更新日 2022年10月14日

経営セーフティ共済とは、取引先事業者が倒産した際に中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。

経営セーフティ共済に加入していれば、会社の資金繰りに困ったときなどに無担保で借り入れができたり、掛金を全額損金算入できたりする(節税効果)など、メリットが多い制度です。

しかし事業を続けていると、時にはやむなく解約せざるを得ないケースもありますし、意図的に解約して運転資金を取り出した後にまた再加入を検討するというケースも考えられます。

そんなとき、あらかじめ経営セーフティ共済の解約における最適なタイミングや注意点を把握しておけば、未然に機会損失を防ぐ選択が可能です。

この記事では、経営セーフティ共済を解約したい時に必要な手続きや、解約に伴うリスクについて解説しています。ぜひ参考にしてください。

経営セーフティ共済の解約手続き方法

経営セーフティ共済の手続きにはいくつかの種類がありますが、必要な手続きの流れは基本的にどれもほとんど同じで、次の4つのステップがあります。

  1. 解約のための必要書類を入手し、必要事項を記入
  2. 解約手当金を受け取りたい口座のある金融機関に提出
  3. 解約手当金の受け取り
  4. 中小機構から書類の受け取り

 

解約のための必要書類は、解約理由によって入手先が異なります。解約手当金を受け取るための「解約手当金請求書」は、経営セーフティ共済を提供する中小機構のホームページからPDFファイルをダウンロードするか、専用フォームから書類請求できます。

【中小機構の公式ホームページは↓こちら↓です】

経営セーフティ共済の代表的な解約理由には以下の5つがあり、提出が必要な書類がそれぞれ異なります。

  • 任意解約
  • 法人の解散
  • 法人の破産
  • 個人事業主の死亡
  • その他

以下、それぞれの手続きについて解説していきます。

任意解約する場合の必要書類

契約していた法人の都合で解約するに必要な書類は、次の2点です。

  • 解約手当金請求書
  • 共済契約締結証言

「解約手当金請求書」は中小機構のホームページから入手できます。PDFファイルをダウンロードしてプリントするか、専用の資料請求フォームで請求しましょう。

指定の書類に必要事項を記入したものを登録取扱機関へ提出します。FAXで送りたい場合は、資料送付請求票をダウンロードしてプリントし、FAXで送信してください。

「共済契約締結証書」は、経営セーフティ共済に加入した際、中小機構からすでに送付されている書類です。もし紛失して手元にない場合は、発行後3か月以内の印鑑登録証明書を代わりに添付することで代替可能です。

印鑑登録証明書は、個人であれば自治体の役所かコンビニなどでも発行できますが、法人であれば法務局で発行が必要です。

法人が解散した場合の必要書類

契約していた法人が解散して、残された会社財産を換金処分する清算手続き中に解約する場合、次の4点の必要書類を準備します。

  • 「商業登記簿謄本または履歴事項全部証明書」(発行後3か月以内の原本)
  • 清算人の印鑑登録証明書(発行後3か月以内の原本)
  • 解約手当金請求書
  • 共済契約締結証書(なくても可)

「商業登記簿謄本または履歴事項全部証明書」には、清算人であることと法人の解散が明らかであることが記載されている必要があります。

「清算人の印鑑登録証明書」は、役職名が「(代表)清算人」と記載されているものを用意します。「商業登記簿謄本または履歴事項全部証明書」と「清算人の印鑑登録証明書」は、どちらも法務局で入手が可能です。

「解約手当金請求書」は中小機構のホームページからダウンロードできます。なお、法人の解散による解約では、「共済契約締結証書」を紛失していたとしても手続きが可能です。

法人が破産した場合の必要書類

裁判所によって法人の財産を処分し、会社を清算法人が破産をしたことにより解約をする場合は、次の4点の必要書類を準備します。

  •  裁判所の破産手続開始決定通知書の写し
  •  破産管財人の印鑑登録証明書(発行後3か月以内の原本)
  •  解約手当金請求書
  •  共済契約締結証書

「裁判所の破産手続開始決定通知書」は、法人の支払い能力が失われて要件を充たすと、裁判所より破産手続きが開始されます。破産手続きに入ると裁判所から破産管財人が選任され、法人による財産の管理処分権は、以降より、破産管財人に移ります。

破産手続きが開始されるのと同時に、「破産手続開始決定通知書」が送付されます。経営セーフティ共済の解約で提出するのは、この「写し(コピー)」です。「破産手続き開始決定通知書」には、破産の事実と破産管財人であることが確認できる記載が必要です。

「破産管財人の印鑑登録証明書」は法務局で入手が可能です。「解約手当金請求書」は中小機構のホームページからダウンロードできます。法人の解散による解約では、「共済契約締結証書」が手元になくても手続きを進められます。

個人事業主が亡くなった場合の必要書類

個人事業主が亡くなったことにより相続が発生し、相続人が解約手当金を受け取るための手続きには、次の6点の書類が必要です。

  •  請求者の戸籍謄本(発行後3か月以内の原本)
  •  契約者の死亡が明らかな戸籍(除籍)謄本
  •  相続人の印鑑登録証明書(発行後3か月以内の原本)
  •  解約手当金請求書
  •  解約手当金の支給を受ける権利を有することの書面
  •  共済締結証書

解約手当金の受け取りは相続人に限られるため、準備する戸籍謄本は、請求者が「死亡した契約者の相続人」だと明確に証明されるものでなければなりません。

「死亡が明らかな戸籍(除籍)謄本」は、本籍地のある自治体の窓口や郵送・コンビニなどで、「相続人の印鑑登録証明書」は各自治体の窓口やコンビニで取得可能です。

「解約手当金請求書」と「解約手当金の支給を受ける権利を有することの書面」は、中小機構のホームページからダウンロードできます。「共済締結証書」は手元になくても手続きできます。

事業の全部譲渡・法人化などその他の場合

譲渡企業の事業すべてを譲渡する、事業の全部譲渡や、会社の分割、個人事業主が会社を設立し、事業を引き継いでの法人化をした場合は、契約者の状況によって必要書類が異なります。そのため、中小機構に直接問い合わせる必要があります。

一例として、譲渡人から請求された事業譲渡による解約には、「事業の全部譲渡証明書」や「請求者の印鑑登録証明書」、「商業登記簿謄本」などが必要です。

譲受人からの請求の場合には、商業登記簿謄本ではなく「解約手当金の支給を受ける権利を有することの書面」を用意します。

このように解約状況により準備するものが変わるため、コールセンターへ連絡をして直接確認するのが無難でしょう。その際は「共済契約者番号」を用意しておくとスムーズに確認できます。

【中小機構のコールセンターは↓こちら↓です】

コールセンターは平日午前9時から午後5時まで受付しており、回線が比較的つながりやすいのは9時台、12時台、16時台です。

経営セーフティ共済の解約タイミング

経営セーフティ共済の解約はいつでもできますが、会社の財務面で効果的なタイミングは「事業の収益が大幅に下がっている時」や「役員の退職金支払いなどの大きな損失が発生する時」です。

経営セーフティ共済の解約手当金は、法人の場合は益金、個人事業主の場合は雑収入として扱われ、法人税や所得税の課税対象となります。事業が黒字の時に解約すると、収益増となって税率が上がり、課税額が上がってしまうのです。

そこで、解約のタイミングとしては、業績が悪化している時がおすすめです。赤字の時に解約手当金を受け取れば赤字分と手当金の黒字分が相殺してされて課税額を抑えることができます。

役員の退職金や死亡退職金を支払う際に、解約手当金を利用するのも効果的です。退職金は損金として計上できるので、解約手当金と相殺すれば利益の増収を抑えられます。

経営セーフティ共済の解約時の注意点としては、

  • 解約手当金は納付月数が12か月未満では受け取れないこと
  • 納付月数が40か月未満だと掛け金を下回ってしまうこと

の2点にくれぐれもご留意ください。

経営セーフティ共済の再加入

 

経営セーフティ共済は、継続して1年以上の事業を行っている中小企業であれば、一度解約した後でも条件を満たしていれば再加入ができます。

再加入の条件としては、「資本金の額または出資の総額」と「常時使用する従業員数」に一定の要件があります。業種により異なりますが、その一例として次のようなことが挙げられます。

  • サービス業であれば資本金額が5,000万円以下、従業員数は100人以下
  • 小売業であれば資本金額が5,000万円以下、従業員数が50人以下
  • 企業組合、協業組合、事業協同組合などに該当

ただし、再加入は納付月数がゼロからのカウントとなるため、共済金を受け取れる期間に注意してください。再加入後、6か月未満のうちに取引先が倒産した場合は、共済金の借入れが許可されません。

また、取引先の倒産までに6か月分以上の掛け金の納付額がない場合も、共済金は借入れできません。解約をする際には、再加入時のリスクも十分検討しましょう。

経営セーフティ共済の検討はプロへご相談を

経営セーフティ共済は加入すれば節税効果が高く、掛け金納付月数が40か月を超えていれば、解約時に支払った掛金が全額返金されるので、一見とてもお得なように思えます。

ただし経営セーフティ共済は、最後に受け取った解約手当金の全額が課税対象とされる仕組みとなっていることに注意が必要です。

掛けている途中は年間最大240万円に対する節税効果が継続しますが、最後にまとめて課税される制度であることを抑えておきましょう。

従って、「最も適切な解約のタイミングはいつか?」がもっとも問題になります。そこで活用したいのが、損金と益金のコントロールに長けた法人保険のエキスパートによるコンサルティングサービスです。

当社トータス・ウィンズでは経営状況に合わせた綿密なコンサルティングで、ご相談者にとって最大の利益が出るようご提案しています。ご不安がある方はぜひ無料相談をご予約ください。

まとめ

経営セーフティ共済は、取引先が倒産したときなどによる経営難を防ぐための制度です。

無担保で借入ができたり、掛け金を損金算入できたりするなどメリットはさまざまですが、解約のタイミングを誤ると損をしてしまう場合もあります。

損失を防ぐためには、タイミングをしっかりと見極めて解約をすることが重要です。なお、解約手続きは、場合によって必要な書類が変わるためご注意ください。

赤字のときに解約した場合、解約手当金を受け取れば収益となり、赤字と黒字が相殺されてお得になります。しかし、納付期間によっては払い戻されないこともあるため、解約する前に納付状況について確認することが必要です。

再加入はいつでも可能ですが、再加入後6か月以内に取引先が倒産しても共済金は支払われません。どれだけ長く加入していたとしても一度解約すると全てリセットされるリスクはあるため、解約する際にはよくご検討ください。

当記事に掲載した内容についてのご質問や個別相談のご希望があれば、弊社までお気軽にお問合せください。個人のご相談も承ります。

当記事がご参考になれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。