【お勧め書籍】 世界最高の雑談力
公開日 2023年2月25日 更新日 2023年7月29日
仕事もプライベートも、人生はコミュ力で決まる
コミュニケーション力(コミュ力)は、仕事・日常生活の、あらゆる場面・人間関係で大変重要です。
しかし日本人の習慣には「コミュニケーションスキルを体系立てて学ぶ」ということが全くありません。
なぜ「読み書き」「そろばん」のように、学校や家庭で「話し方」「聞き方」が教えられないのでしょうか?
そんなコミュ力を「人生最大の武器」と定義づけ、一生会話に困らない50のルールを教えてくれるのが本書「世界最高の雑談力」です。
考えてみると、仕事でもプライベートでも人生はコミュ力で決まる局面が大変多いのではないでしょうか。対面・オンライン・SNSを駆使して他人とコミュニケーションをとるのが普通の今の時代、コミュ力は「生きる力」そのもので、どんな場面でも使える「最強のスキル」と言っても過言ではありません。
本書では、筆者が実際に1000人以上の企業経営者・企業幹部のコミュ力を大きく変えたという
- 「雑談、会話の鉄人」になるための具体的な方法
- 「コミュニケーションの体幹」となる強いメンタル、自信の作り方
- 人生が楽になる「コミュニケーションマインド」の鍛え方
といったコミュ力アップの50のポイントが掲載されています。本書の中で、特に印象深かったトピックをいくつかご紹介します。
本書のポイント
世界一雑談が苦手な日本人
雑談は個人の健康や幸福感を高めるだけでなく、実は雑談こそが職場の潤滑油であり、思いがけないイノベーションを生む源泉である。
⇒でも雑談が苦手。それはなぜか?
⇒人は拒絶されることに「とてつもない恐怖心を覚える生き物」だから。
⇒ゆえに、知らない人との雑談や会話のリスク、居心地の悪さを過大視し、雑談の楽しさや充実感を過少化してしまう。
雑談の2つの障壁
①誰も自分とは話したくないに違いない、という思い込み
②雑談は居心地が悪く効果がない代物である、という誤解
⇒本来、雑談は万能薬で人の苦しみや悩みを和らげ、解消させるもの。
- 雑談は、人と人を引き寄せる磁石である
- 雑談によって気分が上がり、助け合おうという機運が高まる
- 人の幸福感や健康を決定づける第一の要因は、お金でも仕事でもなく「人との良い繋がり」
⇒地域や家庭、家族といった関係性はときに「しがらみ」・・面倒・束縛・しんどさを覚える。
⇒つながりが強いネットワークよりも、弱いネットワークのほうが価値ある情報伝達には有効。仕事などもそこまで仲良くない人のツテのほうが見つかりやすい。
なぜ年齢を重ねると、友達ができにくくなるのか?
人とのつながりは、一緒に過ごす時間に比例する。
「単純接触効果」・・・人はその接触時間によって、50時間でカジュアルな友達に、90時間で友達に、200時間以上で親友になれるという説。しかし一度親友になっても、人は7年もすれば約半数の親友と疎遠になってしまう。
その点、適度な距離間の関係性のなかでは、礼儀も親切さも保とうとする。利害関係のない他人との関係性はメリットが大きい。実は身近な弱い繋がりこそが、最強の財産になる。
雑談・会話の達人になるカギは「超質問力」
雑談は「する」のではなく「相手にさせる」ものと心得る
「人はあなたが何を話したかは覚えていないが、あなたによってどんな気分になったかはずっと覚えている」(アメリカの作家マヤ・アンジェロウさんの有名な言葉)
「自分がしたい話は控えめに」が雑談の鉄則
人間は基本的に「自分のことを話したくて仕方がない動物」
自分のことを話すとき、会話でもSNSでも人は強い快感を覚える。
・・・逆に、「つまらない話を一方的に聞かされるのは大嫌い」
⇒ 上手に質問し、相手に話してもらいながら自分の話を織り交ぜるのが基本形であり理想形。
人は「自分が聞きたい話」しか聞かない
雑談では「相手が受け取りやすそうな話題」を投げよう。
人間には「自分が聞きたい情報だけを聞き入れる」という習性がある。
(心理学でいう「確証バイアス」という現象)
例1:コロナ禍で、マスクやワクチンの効用に疑問を持つ人に科学的エビデンスやデータを示してもほとんど響かなかった。
例2:ドナルド・トランプ 小難しい話を上から繰り広げるのではなく相手と同じ目線で受け取りやすい球を投げる。「この人だけが私たちの味方だ」と思わせてくれる人に、人は否が応でも惹かれる
無限に広がる質問の作り方 「ど」×「5W1H」×「3お」
例:どんな~、どちらの~×「5W1H」が×「3お」お好きですか?/お勧めですか?/思いますか?
たったひとつの質問で、雑談を深化させる
「どう感じましたか?」で雑談はうまくいく。
会話を深化させるコツは、どれぐらい相手の奥底にある感情に触れるか。
気持ちや感情を共鳴しあうことで、人間関係は一気に深まる。
⇒感情の共有は、特に多くの男性が苦手。なぜなら本能的に競争意識が強いから。
⇒男性は「話をする=目的を達成する手段」と考えがち。相手への興味や共感を常に意識すると良い。
2つの「も」質問で相手の本質が分かる
「もし~だったら?」/「もっとも~なのは何?」
「どんなところ?」で質問に答えやすくする
クローズド質問:Yes or No で答えられる質問
オープン質問:最近どう?のような何とでも答えられる質問
「私も」「僕も」は会話ナルシストの入り口
相手の話を聞いているふりをしつつ、結局自分の話ばかりの会話ナルシストに注意!
気持ちを100%相手に向ける。相手はどんな話をしたいのか?ネタを掘り出していく感覚が大事。
最高の聞き方 「この人との話は楽しい!」と思ってもらう方法
①アクティブ・リスニング
受け止める/言い換える/質問する
②最強のフレーズは「〇〇をください」
「アドバイスをください」「教えてください」
⇒モノではなくアドバイスを求める
人は「助けてくれた人」以上に「助けてあげた人」に好感を持つ。
「アドバイスをください」「教えてください」は、自己承認欲求を満たす強力な誉め言葉でもある。
③アドバイスは「する」より「頼む」もの
人は教えてあげたくて仕方がない生き物。誰かの役に立ちたいという根源的な欲求がある。
逆に自分からアドバイスする場合は難しい。頼まれない限りしないほうがいいし、頼まれてもやめたほうがいい。
④「受け狙い」ではなく「面白がる」
×自己アピール、説教、自慢話、長話、昔話
「会話で自分の話をするときは20秒以内が緑、20秒~40秒が黄色、40秒超は赤信号と心得よ」
(byハーバードビジネスレビュー)
⇒「面白いことを言えばモテる」は大きな勘違い。明石家さんまさんのように、人の話を上手に面白がる人のほうが圧倒的にモテる。相手を引き立て、魅力を生かす姿勢が共感を集める。
「自分の話をする」技術とルール
相手に関係ある話をする
お金/身近/役に立つ/インパクトがある話題
相手が関心をもつ話をする
新規性/告白/有名/流行/失敗談
相手の価値を伝えながら話す
人は誰だって褒められたい。「あなたはすごい!」という話を、人は聞きたい。
相手の良さを褒める
「褒め」を上手に使えばひとは良い気分になり、会話はどんどん進む。
承認/共感/賞賛/感謝
褒めどころがすぐ見つかる4つの「1」
ナンバー・ワン/オンリー・ワン/ベネフィット・ワン/チェンジ・ワン
褒め力が爆上がり 「すぐき」の魔法
すぐ/具体的に/気持ちを込めて。
褒め上手は「褒められ上手」
褒められたら謙遜しない。うれしそうにお礼を言おう。
雑談力をワンランクアップする言葉術 応用編
返し言葉に+ひと言の情報・感情を伝える
例:「久しぶり、元気?」「元気です。お会いできてとても嬉しいです。3年ぶりでしたっけ?素敵なジャケットですね」
「なぜなら」で説得力は爆上がり
どんな理由でも付いてるだけで説得力が全然違う。
人は物語が大好き ストーリー仕立てにして話すと記憶に残りやすくなる
身近なヒューマンストーリーがあると、話の具体性が上がり人の興味を惹きつける。
大した話でなくていい。BeforeとAfterが対比できるのが良いストーリー。
特に成功談より失敗談など、カッコつけないぶっちゃけトークが聞き手を魅了する。
論理は感情に勝てない
人を動かすのは「自分が何を言うか」ではなく、「相手をどんな気持ちにさせるか」である。
ロジックよりエモーション。さらに感情は、ロジックと異なり人から人に伝播する特徴がある。
「耳慣れない言葉」で聞き耳を立たせる
優れたリーダーは、一様に卓越した言葉力を持っている
例:孫正義氏の語録
「頭がちぎれるくらい考えろ」 「近くを見るから船酔いするんです。 100 キロ先を見ていれば景色は絶対にぶれない。ビジョンがあれば、少々の嵐にもへこたれません」 「登りたい山を決める。これで人生の半分が決まる」
抽象的な言葉は、相手に刺さらない
×イノベーション、ソリューション、総合力、実行力、チャレンジ、サスティナビリティ、SDGsなど
好感度を上げる雑談術・印象形成術
①「出来る人」より「できた人」
好感度>有能度 EQ(こころの知能指数)が高い人ほど強くひとを惹き付ける傾向がある。
②第一印象は一瞬で作られ、一生を決める
第一印象は1秒以内で決まり、二度目のチャンスはない。
③好感度急上昇のコツは「笑顔」
マザー・テレサ「たかが笑顔、されど笑顔」
口角を上げる素敵な笑顔は、鉛筆を加えてみると誰でも簡単に出来る。
スーパー人脈力の鍛え方
①ビジネスの肝は「何を知っているかより、誰を知っているか」
「金儲けはコネ設け」
②友達は共達
共通の敵は最強の「共達」を作る
悩み事という敵を共有する
③共感と共体験で繋がりを広げる
④人と人をつなぐ「お節介」を焼く
⑤謙虚さは大切だけど、謙虚過ぎるのはNG
まとめ
本書は「話し方」や、「雑談力」というタイトルながら、実はコミュ力向上の最大ポイントは「聞き方」と「相手のことを思う姿勢」にある、と一貫して主張されています。
常に相手の立場に立ち、「雑談の内容は相手6割・自分4割」そのためには「自分の話は8分目で止めておく」という風に、上手にコミュニケーションをしていく方法が示されています。ごく平易な言葉で構成されており、とても読みやすい印象を受けました。
人間関係を深める、人と信頼関係を築くことに無頓着な人があまりにも多いですが、実は些細な雑談に人生を変える大きな力があるのです。
【「世界最高の雑談力」で、あなたの人生が、今すぐ変わります!】というキャッチコピーは、あながち大げさではないと思いました。コミュ力強化したい方にぜひお勧めしたい1冊です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
【経歴】
1979年生まれ 京都市出身。
同志社大学経済学部卒業後、日本ユニシス株式会社(現BIPROGY 株式会社)入社。一貫して金融機関向けITシステム開発業務に携わる。
金融システム開発の現場で、2007年~2009年頃のリーマンショックによる経済の大混乱、強烈な景気後退、資産の激減などを目の当たりにする。
その経験から、「これからの日本人の合理的な資産形成・防衛に、正しい金融リテラシーが絶対に必要」という強い思いを持ち、2011年4月 株式会社トータス・ウィンズに入社。
中小企業に特化したリスクマネジメント対策のコンサルタントとして、500社以上の中小企業、1,000人以上の保険相談業務に携わる。2015年、代表取締役就任。
法人保険活用WEBサイト『点滴石を穿つ』を運営する一方で、法人向け保険代理店として、東京都中央区を中心にコンサルティング活動を行なう。
【趣味】
美術館巡り、千葉ロッテマリーンズの応援
【自己紹介】
中小企業向けの金融商品が数多ある中で、わたしは一貫して『100%顧客優位な商品選び』をポリシーに中小企業経営者向けの保険活用プランニングを行なってきました。
これまでのキャリアでの最大の学びは、『お金やお金の流れに関する知識や判断力=「金融リテラシー」は、私たちが社会の中で経済的に自立し、生き抜くために必要不可欠』ということです。
そして金融・保険に携わるプロとして、何よりお客様に対する誠実さ・真心・信頼関係より大切なものはないと考えています。
皆さんが安心して納得できる金融商品選びができるよう、わかりやすい記事を書き続けることで貢献していきます。